新年に入り、そろそろPTAの"役員決め"が頭をよぎる人もいるようです。1月7日のガールズちゃんねるに「PTA退会した人、退会したい人」というトピックが立ちました。
トピ主は「学校側は隠したがるけど、実際は各学校に数名いるんじゃないかと思います」と口火を切り、辞めても特に不利益はなさそうなので、退会を迷っているといいます。「退会した人、したい人、お話しましょう!」と呼び掛けると、8日夕までに1000件以上のコメントが入り、PTAの呪縛を嫌う母親たちの叫び声が相次ぎました。(文:篠原みつき)
退会したい人だらけ でも「やらないと許されない」という呪縛
もう何年も前から議論の絶えないPTA問題ですが、ここ数年は「加入は任意なので、退会できる」という認識が広まってきました。ただ、皆が同じ行動でないと、安心できないのが日本人の性。トピックへの反応は
「(退会)したい人って…全員だと思います…」
「みんな辞めたいだろうけど、実際辞めたら周りからコソコソ言われるだろうな」
と「辞めたくても辞められない」「退会するほうが面倒」などの不満が渦巻いています。「親のフラワーアレンジメント講習会、ベルマーク集計や広報誌などマジいらない」という声に、広報役員経験のある筆者も同感です。中には「学校のトイレ掃除までやらされる」という人も複数いて驚きました。
数年前に大阪の中学校で、保護者会に未加入だったために、子どもが卒業式でコサージュをもらえなかったと裁判を起こしたニュースが話題になりました。報道をきっかけに「PTAこえーって思って簡単に辞められなくなった」という人も散見されます。
こうした会員、非会員間の差別の背景には「逃げ得は許さない」という考えがあるのでしょう。確かに、自分が仕事を休んでまで参加しているものを、平気でスルーして済ませている人がいれば腹が立ちます。しかし、それで差別が起きるようでは、子どものための団体とは言えません。
「さっさと退会したよ」「活動縮小しました」という人も
一方、ほんの数人ですが退会したという人もいました。
「さっさと退会したよ。当時は入会届も退会届もないから内容証明送ったし校長とも話し合った。その数年後に入会届ができて、やりたい人だけやる方式になった」
「中学校は必要ないと思って退会しました」という人は、会費は寄付として払っているそう。お金を払うことで心理的負担を軽くしているのかもしれません。また最近では「同意書」の配布が行われる学校も、ちらほら出てきているようでした。
退会はせずに、あえて役員になったという人も。「PTA要らない派が役員になって、色々な行事が削られていってるよ」といい、内側から改革に取り組んでいるようです。同意を得た上で無駄な活動を削っていくことは、しがらみもあって大変でしょうが、今後は避けて通れない道かもしれません。
ところで、貧富の格差が広がったイギリスでは「公立学校は、保護者のボランティア活動抜きには成り立たない」といいます。英国在住の日本人女性が、息子の中学生生活を描いて話題になったノンフィクション『僕はイエローでホワイトでちょっとブルー』(ブレイディみかこ/新潮社)に、その一端が紹介されていました。
中学の音楽部の保護者ボランティアには希望者が殺到し、著者のブレイディさんは制服の修繕をするミシンボランティアを意欲的に行っていました。「子どものために親が協力する」という空気ができあがっているそうです。やる人はやるし、出来ない人・やる気のない人に強制するのは、やはり無理があります。
筆者は、学校に保護者が関わることは、ある程度したほうがいいと考えています。ですが、母親の無償労働をあてにした今までのやり方を続けていれば、これから退会者は増えていくのではないでしょうか。