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『コタキ兄弟』は人間賛歌コメディー、キャストが踊るOP曲も注目

2020年01月10日 13:21  CINRA.NET

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『ドラマ24「コタキ兄弟と四苦八苦」』 ©「コタキ兄弟と四苦八苦」製作委員会
■テレ東「ドラマ24」で野木亜紀子×山下敦弘タッグのオリジナル作

新たな連続ドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』の放送が、1月10日深夜にテレビ東京の「ドラマ24」枠でスタートする。

「ドラマ24」といえばこれまでに『孤独のグルメ』『きのう何食べた?』『バイプレイヤーズ』をはじめとする多数の人気作を生み出し、金曜深夜のドラマ枠としてブランドを確立してきた。

そんな放送枠で次に送り出されるのは「レンタルおやじ」の物語である。脚本はドラマ『アンナチュラル』『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』などの野木亜紀子によるオリジナル。監督は映画『天然コケッコー』『苦役列車』『オーバー・フェンス』などの山下敦弘。山下は本作で初めて連続ドラマ全話の演出を担当する。

■古舘寛治と滝藤賢一が兄弟役で「レンタルおやじ」に。ヒロインは芳根京子

物語の主人公は、元予備校講師で現在は無職の一路(いちろう)と8年前に一路が勘当を言い渡した弟の二路(じろう)。真面目すぎてうまく生きられない兄と、「ちゃらんぽらん」にしか生きられない弟という対照的な兄弟がひょんなことから「レンタルおやじ」を始めることになり、孤独な依頼人たちの無茶ぶりに四苦八苦しながらも生きていく様を描く「人間賛歌コメディー」になるという。

兄の古滝一路役を古舘寛治、弟の古滝二路役を滝藤賢一が演じ、ダブル主演を務める。さらにメインキャストとして「喫茶シャバダバ」で働くさっちゃん役を演じる芳根京子が出演する。兄の一路が 通う喫茶シャバダバは「レンタルおやじ」活動の拠点となる。

『コタキ兄弟と四苦八苦』の企画は古舘と滝藤が「自分たちがダブル主演のドラマを立ち上げよう」と意気投合したところから始まり、3年近くの年月を経てようやく日の目を見たプロジェクトなのだという。

「コタキ兄弟」の兄役の古舘寛治は本作の放送決定発表時、「自分が主演!ありえない!しかも滝藤くんという素晴らしい売れっ子俳優とのダブル主演!その上に今や飛ぶ鳥を落とす勢いの野木亜紀子さんがこれ以上ない素晴らしいオリジナル脚本を書いてくださり、あの山下敦弘監督が優れたセンスと繊細な演出で僕らの手綱を握ってくれる。スタッフも優秀で個性溢れるメンツ揃い。これはもう必死にやるしかありません」とコメント。

弟役の滝藤賢一も「フジテレビ湾岸スタジオで古舘寛治さんと久し振りに再会し“なんか一緒にやれたらいいね”と話していたのが 2017年初頭のこと。その数日後には私の初主演作【俺のダンディズム】の濱谷プロデューサーと渋谷でお茶して、あれよあれよと言う間に、こんな大きなプロジェクトに...。本当に夢のようです(泣)」と喜びを語っていた。

■宮藤官九郎がレギュラー出演。依頼人役で市川実日子も登場

コタキ兄弟を取り巻く人物にも多彩なキャストが揃う。

2人が「レンタルおやじ」を始めることになるきっかけでもあり、「レンタルおやじ」の代表を務めるムラタ役には宮藤官九郎がキャスティング。昨年放送されたNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』の脚本を手掛けた宮藤は、『いだてん』最終回へのサプライズ出演で話題を呼んだが、連続ドラマへのレギュラー出演は久しぶり。またコタキ兄弟の弟・二路の妻・有花を中村優子が演じる。

さらに「レンタルおやじ」への依頼人のトップバッターを飾る人物には、野木脚本の『アンナチュラル』にも出演していた市川実日子。このほかに門脇麦、川島鈴遥、岸井ゆきの、小林薫、望月歩、吉沢悠らの出演が発表されている。望月歩は『アンナチュラル』のいじめ問題を扱った回でメインとなる高校生役を演じていた。

■オープニング曲はCreepy Nuts新曲。タイトルバック映像でキャストが踊る

本作の音楽は王舟&BIOMANが担当。オープニングテーマ曲はCreepy Nuts“オトナ”、エンディングテーマ曲はスターダスト☆レビュー“ちょうどいい幸せ”。ともにドラマのために書き下ろされた新曲となる。

オープニングは楽曲だけでなくタイトルバック映像も話題を呼びそうだ。喫茶シャバダバを舞台に撮影された映像にはCreepy NutsのR-指定とDJ松永、そして古舘寛治、滝藤賢一、芳根京子が出演が出演。オープニングテーマ“オトナ”にあわせて踊る古舘、滝藤、芳根の姿が映し出される。

テーマ曲にあわせてキャストが踊る演出といえば『逃げるは恥だが役に立つ』の「恋ダンス」が思い出されるが、緻密な振付の恋ダンスとは異なり、『コタキ兄弟と四苦八苦』の3人の動きはかなりゆるい。振付はなく即興で体を動かしたそうで、お盆をこするジェスチャーをしている芳根は「『さっちゃんはお盆を持ってDJしていればいいよ』とだけ言われてお盆を渡されたので、自分はどういう風に参加するんだろう?と未知の時間でした」と撮影を振り返っている。

このタイトルバック映像は期間限定でYouTubeで公開されている。顔をしかめながら不思議な動きをする古舘と、笑顔で体を揺らす滝藤、楽しげに飛び跳ねる芳根と、三者三様の「ダンス」が一路、二路、さっちゃんのそれぞれのキャラクターを表しているようで印象的だ。

■「12苦」が裏テーマ。「四苦八苦」に加えられた「4つの苦しみ」とは?

本作『コタキ兄弟と四苦八苦』のタイトルに用いられている「四苦八苦」という言葉は仏教に語源があり、生・老・病・死を含む、人間である限り避けられない8つの苦しみを表す。これに新たに4つの苦しみを加えた「12苦」が本作の裏テーマになっており、12話で12の苦しみを描くという。市川実日子がゲストの初回は「八苦」のひとつである「怨憎会苦(おんぞうえく)」だと予告されている。「怨憎会苦」は怨み憎しむ相手と会う苦しみのことだ。

『アンナチュラル』をはじめ、『獣になれない私たち』『フェイクニュース』と近年放送されてきた野木亜紀子のオリジナル脚本作には現代社会の生きづらさを引き起こす様々な要素への問題意識が散りばめられていた。視聴者の共感を喚起するリアリティーと、フィクションゆえのエンターテイメント性のバランスが魅力のひとつだ。

「人間賛歌コメディー」と銘打たれている今回の作品はどうだろう。「レンタルおやじ」に集まる依頼内容──「定年退職した夫の様子がおかしい」、「友達が孤独死しているのではないか」、「3か月後に世界が終わる」──を見ると、ここに現代ならではの「新たな苦しみ」が透けて見えるような気がする。ドラマのプロデューサー・濱谷晃一は「深夜に楽しく笑えるコメディでありながら、世の中の誰もが抱える普遍的な苦しみと向き合っていく、奥深い人間ドラマです」と本作を紹介している。「四苦八苦」にプラスされる4つの苦しみとはなんなのか? その答えは放送で見届けたい。

なお『コタキ兄弟と四苦八苦』はテレビ東京系での放送のほか、「ひかりTV」「Paravi」でも配信。テレビ局の放送地域外の場所でも配信でチェックすることができる。第1話の放送は一部地域を除き、1月10日深夜にスタートする。
『ドラマ24「コタキ兄弟と四苦八苦」』 ©「コタキ兄弟と四苦八苦」製作委員会