自動車の自動運転や、囲碁で人間を打ち負かすロボットなど、近年のAI(人工知能)技術の発展はめざましい。人間の知的ふるまいの一部を人工的に再現するAIは、いずれ人間の頭脳に取って代わり、多種多様な仕事をこなすようになる、という見方も強い。
企業のAI導入が進めば、やがて働く「人」が必要なくなる時代が来るかもしれない。企業口コミサイト「キャリコネ」にも、AIの台頭に危機感を持った人々からの口コミが寄せられている。【参照元:キャリコネ】
大手資産運用会社の口コミ「社内はどんよりとしており、覇気がない」
特に目立つのが金融系企業で働く人々からの口コミだ。大手資産運用会社で働く人は、次のようにコメントしている。
「自動取引やAIの台頭により、人を介した資産運用は今後先細りである。会社の先行きが暗く、社内はどんよりとしており、覇気がない」(営業、30代前半、男性、正社員、年収500万円)
大手の証券会社からも同様の声が寄せられている。
「投資のあり方も多様化しており、AIを用いた資産運用コンサルタントが主流になる。より一層営業員という人間、言い換えればコストとなる人件費は不要となり厳しい組織再編の可能性があると考える」(コンサルティング営業、20代後半、男性、正社員、年収950万円)
「募集商品を扱うだけで、やり方はリストの上から下までのマス営業。AIで十分であり、やりがいや将来性はまったく無いと思います」(コンサルティング営業、30代前半、男性、正社員、年収600万円)
これまで人間が行ってきた作業を、よりスピーディで、かつ正確に行うことを可能にするAI。学習を重ねることで進化し、精度が高まり続けるために「これまで人間がやってきた仕事が奪われるのでは」と懸念している声が多く見られた。
確かに、無駄を省き、業務の効率化を求める企業にとって、AI導入は人件費を削減できるメリットがある。
人材業界はサービス存続の危機か「紹介そのものが必要なくなる」
また、人材業界からは、自社サービスの存続そのものを危ぶむ口コミも寄せられた。
「人出不足から採用難を抱えているクライアントが多いため、ニーズは非常に高い。業界では大手のため商材力も強く、売りやすい。しかし景気が今後悪くなったり、AIの導入で労働力不足が解消され始めた際に、提供できるサービスが他に無いため先行きとしては不安を感じる」(企画営業、20代後半、男性、正社員、年収529万円)
現在は、多くの業界で人手不足が慢性化し、人材を欲している企業が多い。そのため、人材派遣や紹介業に需要は高いと言える。しかし、人間がやってきた仕事をAIが代わるようになれば、当然「人」は必要なくなる。人手不足が解消されるのと引き換えに、人材紹介というサービスは価値を失いかねない。
人材業界はほんの一例にすぎない。自分の仕事は、AI中心の社会になっても必要とされ続けるのか、いま一度見つめ直しておきたい。【参照元:キャリコネ】