定年まで勤め上げることを前提にした「終身雇用」は、長きにわたり日本の雇用方法における常識だった。しかし、昨年のトヨタ自動車・豊田章男社長の「終身雇用を守っていくのが難しい局面に入ってきた」という発言にみられるように、今後も当たり前であり続ける保障はなくなってきている。
こうした大企業による「終身雇用の終えん発言」は、SNSやメディアでも度々話題になる。企業口コミサイト「キャリコネ」にも、終身雇用に関する口コミが寄せられている。【参照元:キャリコネ】
「チャレンジ精神や改革精神がある人には向かない」
「超絶年功序列、終身雇用の文化が円満している。若くて熱量のある社員は入社前とのギャップに苦労して辞める人間も多い。どれだけ論理的に変化や改善を提案しても『出る杭は打たれる』社風なので、創造性や変革を求める人間は決して入社してはいけない」(法人営業、30代前半、男性、正社員、年収730万円)
「子会社に過ぎないので、上層部はほぼほぼ天下りになるので上昇志向が強い方には合わない。その分、決して自分から仕事を取りに行かなくても、毎日ルーティンワークをこなせばいいだけなので仕事は楽である。いわゆる年功序列終身雇用を絵に描いたような社風。風波立てずに適当にやっていきたい人には向いており、チャレンジ精神や改革精神がある人には向かない」(代理店営業、30代前半、男性、正社員、年収500万円)
「年功序列が強く、どんなに優秀であっても年数が経過しないと昇格しない。出世をあきらめている人間にとっては、クビが無く終身雇用に守られているため、モチベーションが低い方もいらっしゃる」(技術関連職、30代前半、男性、正社員、年収700万円)
終身雇用の維持が困難な時代になったとはいえ、終身雇用制度を維持している企業も多い。口コミでは、終身雇用と年功序列をセットにして捉えたものが目立った。
定年まで雇用が守られており、さらに確実に給料が上がっていくため、積極的に成果を出さなくてもクビになることはない。社員にとって安定した職場といえる一方、それゆえに仕事をしない社員が生まれる温床にもなっているようだ。チャレンジ精神のある社員には不満を感じやすい環境であるばかりか、仕事をしない社員が結果的に企業の不利益を招いてしまう可能性もあるだろう。
「世界に通用する力を身につけるべく退職した」という人も
一方、終身雇用制度を前提としない働き方に取り組んでいる企業もある。
「当社では企業が終身雇用のプラットフォームを示すことはもはや無いという考えから『多様なマネジメント性』と『高い専門性』を持つ人材を育てようとする文化があります。誰でも役員に立候補出来るエントリー制度やウェブエンジニア養成プログラムなどを取り入れその実現を図っています」(研究開発、30代前半、男性、正社員、年収380万円)
終身雇用が続くことを当たり前と考えず、年齢や経験関係なく、誰もが活躍できる環境を整備することは、これからの企業に必要な取り組みと言えるだろう。
「グループ企業から仕事が降ってくる利権企業。社会にとって役立っている感がない。しかし給与水準は高いので、そのぬるま湯に浸っている人や人生逃げ切りを図る人が多い。自分が定年するまで会社が存続するならそれでも良いが、トヨタですら終身雇用を保証できないと公言した今、自分の身は自分で守る必要を感じて強く感じた。取り返しのつかない年齢になる前に、世界に通用する力を身につけるべく退職した」(海外営業、30代前半、男性、正社員、年収1100万円)
終身雇用制度に染まっている状態に不安を感じ、退職したという口コミも見られた。勤務先に定年まで面倒をみてもらうのではなく「自分の身は自分で守る」時代に突入している。雇用制度が根本的に変わりつつある今、キャリアを見つめ直し、今後の働き方を再考することは大切だ。【参照元:キャリコネ】