2020年01月09日 06:01 リアルサウンド
吉高由里子が主演を務める『知らなくていいコト』(日本テレビ系)が、1月8日にスタートした。
本作は、世の真実を暴く立場でありながら、自分の真実に人生を狂わされる週刊誌記者が主人公のヒューマンドラマ。週刊誌『週刊イースト』で日々スクープを狙う女記者・真壁ケイト(吉高由里子)の母・杏南(秋吉久美子)が亡くなる直前に言い残した「ケイちゃんのお父さんは……キアヌ・リーブス……」という謎の言葉から、ケイトの父親を巡る真相が徐々に明らかになっていく。
物語はケイトが追い求めるスクープ事件と彼女の父の秘密、2つの軸で描かれる。編集長の岩谷(佐々木蔵之介)やケイトと同じ班の上司に当たる黒川(山内圭哉)、雑談が少々多い倉橋(小林きな子)など、『週刊イースト』編集部は個性豊かでとにかく賑やか。公式ホームページの相関図を見れば驚くが、20名以上いる編集部員一人ひとりに班と担当が割り振られているのには、1クールドラマとしては珍しい、手を抜かない徹底した世界観作りを感じさせる。
対して、ケイトの父親を巡る物語は非常にシリアスだ。ケイトの父親は当然キアヌではなく、母が残した遺品からかつて世間を騒がせた殺人犯・乃十阿徹(小林薫)の可能性があることが示唆された。ここで彼女に大きく関わってくるのが、彼氏の野中(重岡大毅)と元彼の尾高(柄本佑)だ。
野中はケイトが今でも良き仕事仲間として尾高といい関係性にあることを不安に思っていた。怯えるケイトに野中はプロポーズ。しかし、その後に帰ってきた言葉は、「私の父親は殺人犯」という衝撃の一言だった。数日間、新婚の気分を味わうケイトと野中。編集部での野中は原稿の催促が甘いと上司の東山(本多力)から注意されるような少し優し過ぎる人物で、悩みに悩んだ野中は「子供ができた時の遺伝子を考えたら」と突然の結婚破棄を申し出る。
一方の尾高は、フリーランスの動物カメラマン。生前の杏南とも交流があった。第1話の中では、尾高がスクープとして乃十阿が出所する様子を撮影し、掲載された『週刊イースト』を杏南に見せている回想シーンがある。杏南の瞳には涙が。尾高が乃十阿についての情報を握っているのは確かであり、彼の設定には「報道カメラマンだったが、あるコトがきっかけで転身」とあることから、今後、尾高の過去も紐解かれていくのだろう。
初回から波乱を呼ぶ展開となった『知らなくていいコト』。「信じられないスクープは、私自身のことでした。」というのは、このドラマのキャッチコピーだが、今後の展開としてケイトの父親のことが編集部に知られ、それをスクープの記事に……というストーリーが容易に思い浮かぶ。
“知らなくていいコト”。そのタイトルの意味は、ケイト、野中、尾高らを指す言葉でもあり、人のプライベートを切り売りする現代の週刊誌を意味しているようでもある。2020年、令和の時代に吉高由里子は、脚本家・大石静のもとで週刊誌記者をどう演じきるのか。(渡辺彰浩)