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「大麻を吸うこともコミュニケーション」 国母被告人、初公判で「深く反省してます」

2020年01月08日 17:32  弁護士ドットコム

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米国から大麻を密輸したとして大麻取締法違反と関税法違反の罪に問われたスノーボード男子ハーフパイプ元五輪代表の国母和宏被告人(31)の初公判が1月8日、東京地裁(村田千香子裁判官)であった。検察は懲役3年を求刑し、即日結審した。


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国母被告人は「間違いありません」と起訴事実を認める一方、今後の大麻との関わりについては「嗜好品として日本で使うのは違法なので、違法なことはしません」と答えた。



●「間違いありません」

起訴状によると、国母被告人は昨年12月27日(現地時間)、元スノーボーダー戸田聖輝被告人(30=同罪で懲役3年、執行猶予4年判決)と共謀して米国から大麻製品約57グラムを日本に輸入したとされる。現地調達役は国母被告人、受け取り役が後輩の戸田被告人だ。



昨年11月6日に逮捕、起訴され、12月3日に保釈されていた国母被告人はがっしりした体を包む黒のスーツ姿で法廷入り。首元までボタンをしめネクタイも付けていた。現在の職業を「スノーボーダー」とはっきり答えた。起訴事実について「間違いありません」と認めた。



●14歳から大麻「吸うこともコミュニケーションの1つ」

大麻との深い親和性が法廷で明らかになった。初めて使用したのは北米のアメリカ、カナダで「14歳ごろ」。幼少からスノーボードの才能に恵まれ、世界で活躍する国母被告人だったが、英語を話せない日本人が周囲に馴染むためには「大麻を吸うこともコミュニケーションの1つでした」と振り返る。当時から日本での違法性は認識していたという。



20代前半になると日本でも所持するように。「アメリカでの生活が長く、麻痺してました」。大麻草から使い始めて、大麻ワックス(大麻の幻覚成分を濃縮して作ったもの)に手を出したのは「ここ数年のこと」だ。



「葉っぱとワックス」の違いについて、国母被告人は「葉っぱの大麻はそこらへんに生えている」「吸いやすさが違います。ワックスは喉が痛くならないです」と説明した。



大麻特有の効き目(多幸性)こそ違いはないという国母被告人だが、葉っぱで我慢しようとは思わなかったようだ。



●多すぎる輸入量

今回の事件において注目されていたのは、密輸した大麻ワックスが100回分の使用量に該当するほど多量だった点だ。



これまでの報道でも「営利目的」を疑うものが出ていた。多すぎる押収量について裁判官は「何日分くらいだと思っていたのか」「量が多いという感覚は」などと尋ねた。



国母被告人は「1週間で消費すれば多いけど、2~3週間など期間によって多い少ないとなるので、多いとは思っていません」「1週間で57グラムは多い。ただ、57グラムを多いかと聞かれると、消費する期間によって変わる。自分は(消費する)期間を決めていなかったので答えられない」と回答。



購入量は事前に戸田被告人と相談して決めたと明かしたが、米国で購入した者の名前は黙秘した。



●応援する者の多さ

弁護側から提出された嘆願書は、国母被告人を特集したスノーボード専門誌の編集長によるもの。嘆願書に付ける形で集められた署名(証拠としては棄却)には、ソチ五輪スノーボードスロープスタイル金メダリストらのものもあった。



国母被告人の周囲に事件を非難する者はいないそうだ。スノーボード業界関係者から集まるのは非難の声ではなく、「ここではすごい言いづらいことばかり言われてます」と頭をかいた。つまり、非難や失望とは「逆(の声)です」。



●反対するのは家族だけ

そんな国母被告人を叱ってくれるのは、今も「家族だけ」だという。妻は逮捕前から使用事実を知っていた。「やめて」「あなたは依存症」と数回伝えていた。しかし、その言葉は届かない。妻の願いに対して、国母被告人は口では「やめる」と言いつつ、日本でやめて海外でやっていたと話す。



妻からも指摘されていた自身の依存については「依存」と認識している。「大麻に依存していたかどうかはわからないが、自分が犯罪者になって、家族が犯罪者の家族になることを考えてもやめられなかったのは、依存だと思います」。注意されたのにやめられない原因は「わかりません」とも。



●これからも大麻との関与は続く?

裁判官も大麻との関わりをなくすことがたやすくないと見ている。大麻との今後の関与について、裁判官と以下のやりとりをかわした。



ーー関わりをなくすことは難しい?



「大麻と関わることがすべて違法だとは思ってないので、違法なことはしない」



ーー大麻と関わらないことは無理?



「無理ではないです」



ーーやめるとは一切考えていない?



「えーと。まあ、自分も勉強して、大麻は繊維として利用したり、オイルを抽出したりできる」



「嗜好として吸うのは日本では違法なので、違法なことをする気はありません」



検察は国母被告人が自ら出頭したものの、携帯電話の所在を明らかにせず今も提出しない点に、反省がないと指摘。大麻との親和性の高さから再犯の可能性が高いとして、懲役3年を求刑した。



弁護側は罪の軽減と早い社会復帰を求めた。最後に国母被告人は「今回の件でたくさんの方に迷惑をかけたことを深く反省しています。本当にすみませんでした。今後はこのようなことがないようにします」と頭を軽く下げて法廷を後にした。



判決は1月28日に予定されている。