1月3日に供用が始まった銀座線渋谷駅の新駅舎が、近代的なデザインで注目を集めている。一方、ネット上では他の路線から乗り換える際の動線が悪く、混雑が悪化したという声が相次ぎ、「元に戻して」という人までいる始末だ。
そこで、キャリコネニュース編集部では8日、通勤通学ラッシュ時の渋谷駅を取材。最も混雑すると思われる、京王井の頭線から銀座線までの改札間を実際に歩いてみた。
駅構内に大量の群衆 誘導員を30人以上配置するも効果は疑問
JR埼京線はこの日、人身事故による運転見合わせが発生。利用客が他の路線に流れた影響で、東海道線や山手線でも遅延が発生した。
筆者は、午前9時すぎに京王井の頭線の改札に到着。スマートフォンのストップウォッチ機能を使って、銀座線改札に到着するまでの時間を測ってみた。
銀座線改札に向けて歩みを進めていく途中、急に人が増え始める場所がある。左手から東急田園都市線、半蔵門線が、右手からJR各線が合流するポイントだ。ここで合流した人々は、一斉に道幅の狭い階段や通路に流れ込む。昨年までの旧銀座線ホームを利用していた時には見られなかった光景だった。
特に悲惨だったのが、マークシティからヒカリエ方面に向かう上り階段。道幅いっぱいに人が殺到し、スーツ姿の通勤客が黒い塊のようだ。みな、下を向きながら憂鬱そうな表情でゆっくりと歩いていく。端を松葉づえで歩く人もいて、一人がバランスを崩したら、将棋倒しが発生して大惨事になりそうだ。
東京メトロは、混雑防止のため駅構内の要所に誘導員を30人規模で配置している。新しい動線の案内や片側通行などを呼び掛けていたが、そもそもの利用客数に設備が対応できておらず、完全にキャパオーバーという印象。
特に道幅の狭い箇所では、自分のペースで歩けるだけの余裕がなく、群衆の流れに身を任せて、銀座線改札を目指すのが精いっぱい。中には、前の人に肩やカバンをぶつけて先を急いだり、素知らぬ顔で足を踏んでいく人もいたが、痴漢や盗撮などを含めたトラブルが起きるのも時間の問題かもしれない。
やがて独特なM字型の屋根が見えてきて、銀座線の改札に到着する。時間にして5分17秒だったが、終始人混みに埋もれていたので体感ではもう少し長く感じた。旧銀座線ホームまでの所要時間が2分前後だったことを踏まえると、2倍以上に延びていることも分かる。毎日こんな様子だと憂鬱だろう。
東京メトロ「設備的な改善という意味では、現在のところ見通しが立っていません」
ツイッター上では、仕事始めだった6日から混雑ぶりに驚く投稿が相次いだ。
「銀座線、死ぬかと思った。動線が酷すぎるよ!」
「もう怖くて渋谷で銀座線に乗れない。半蔵門線で一駅乗って表参道で乗り換えたほうがいいのかな」
ただ、中には渋谷駅周辺が現在も改修中であることを理由に「すべて完成したら改善するかも」と期待感をにじませる人もいた。
ところが、東京メトロの広報担当者に今後の改善の見通しを聞いてみると
「設備的な改善という意味では、現在のところ見通しが立っていません」
という返答。ネット上や報道で混雑が話題になっていることについては「把握している」としながらも、今回の動線が一応の完成形だという。同社は
「誘導員の確保を含め、全力で取り組んでおります。ご不便をおかけしておりますが、ご理解のほどよろしくお願いします」
とコメントしている。