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発達障害の当事者100人が考えたノートが完成 罫線や配色を工夫して視認性向上、「誰もが使いやすい」ノートに

2020年01月07日 14:50  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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大栗紙工は1月15日から、発達障害を持つ人の声を取り入れたノートを試験販売する。ノートは、発達障害の当事者の支援に取り組む団体「UnBalance」と共同で開発。紙質や色、罫線などの細部にまでこだわり、"誰もが使いやすい"ノートになっているという。

同団体の代表で、自身も当事者の元村祐子さんは

「私たちの中には、真っ白い紙がダメだったり、薄くて細い線を認識するのが苦手な人もいます。でも、このノートならもう我慢しなくてすむ」

とリリースで思いを語っている。

ノートは2種類、B5サイズで税込み280円


ノートは、デザイン別に「uni note・ラベンダー」「uni note・レモン」の2種類。いずれもB5サイズで税込み280円と、通常のノートと比較すると、やや高額な価格設定になっている。

開発段階では、同団体の協力を得て、発達障害の当事者約100人にヒアリングを実施。そこで寄せられた、

「罫線と罫線の間を太くして欲しい」
「薄い字でも見やすいノート」
「ペンと紙の摩擦の小さいもの」

といった意見を参考に開発を進めてきたという。

完成したノートは「感覚過敏にも対応」「さまざまな使い方を想定」

「レモン」は、名前の通りレモン色の中紙を使用。1ページに44行あり、太い罫線と細い罫線を交互に引くことで、各行がはっきりと識別できるだけでなく、細い罫線をまたいでゆったりと書くこともできるよう工夫している。

リリースでは、罫線を分けたことで「ローマ字の大文字と小文字を書き分けられる」と、英語学習者に推薦している。このほか、最上部、中央、最下部の罫線には約1センチ間隔で印が付いているので、行の始めをそろえたり、図形を描く人にも役立ちそうだ。

対照的に、「ラベンダー」はラベンダー色の中紙が使われ、あえて罫線を引いていない。ラベンダー色と白色を行ごとに交互に配色することで、各行が識別できるようになっている。「(それ以外のものは)全て省いたシンプルな設計」を売りにしている。

上記2種類は、いずれの中紙にも反射によるチラつきやまぶしさを抑えた国産の上質紙を使っており、感覚過敏で白い紙が苦手な人にも対応する作りになっている。

「感覚過敏や限局性学習症(学習障害)がある人が通常のノートに苦労する」という話をよく聞くという臨床心理士・社会福祉士の小山美紗貴氏は

「『ノートに書く』作業は、全ての人が容易にできることではない(中略)このノートは『目が疲れにくい』『行間が分かりやすい』など、新奇な工夫が施されたものになっていて、さらに自由な発想で使ってもらえる」

と評価を述べている。