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『半沢直樹』SPは今田美桜のターニングポイントに? 得意の「強さ」でお仕事モノに挑戦

2020年01月03日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ』(c)TBS

 2020年1月3日に放送されるスペシャルドラマ『半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ~狙われた半沢直樹のパスワード~』(TBS系)のヒロイン・浜村瞳役を演じる今田美桜。2019年も大活躍だった今田は、『ドクターX~外科医・大門未知子~』や、1月には『ケイジとケンジ~所轄と地検の24時~』(いずれもテレビ朝日系)に出演、そして今回の『半沢直樹』など、今まで演じてきた役から仕事ものが一気に増加、新たな役への挑戦が伺える。男性陣が多い『半沢直樹』SPで今田がどんな役割を演じるのか。


参考:場面写真はこちらから


 2013年に放送された『半沢直樹』は、最終回42.2%という平成で一番の視聴率を弾き出し、「倍返し」がその年の流行語大賞になるほどの社会現象を巻き起こした伝説のドラマだ。その続編となる、2020年4月より放送の『半沢直樹(仮)』に先駆けて放送されるのが、SPドラマ『半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ~狙われた半沢直樹のパスワード~』。物語は、半沢が出向となった東京中央銀行の関連会社「東京セントラル証券」と大きく関わるIT企業「スパイラル」を中心に展開される。今田が演じるのは「東京セントラル証券」の新入社員で、旧型システムのリニューアルが決定し、プロジェクトの雑用係に任命された浜村瞳。そしてプロジェクトリーダーに任命されたのが中途採用の新人プログラマー・高坂圭(吉沢亮)。社運を賭けた一大プロジェクトが進行する裏である陰謀がうごめき、半沢直樹のパスワードが狙われる中、システムを完成させ、2人は半沢のパスワードを守ることができるのか、愛と仲間との絆を描いた”若き2人の成長物語”となっている。


 スピンオフ的なドラマとは言え、やはり何年も『半沢直樹』の続編を待ち望んでいたファンが多いだけに、吉沢と今田という若手俳優2人を主演に持ってきたのはかなりの冒険だ。このドラマは物語の面白さはもちろんのこと、歌舞伎や時代劇のような劇画タッチのキャラクターたちが、半沢(堺雅人)と大和田常務(香川照之)の土下座バトルのように熱すぎる演技を見せるのが人気ドラマとなった一つの要因。そうした男たちの熱い戦いの中で、完全なるヒロインとしての女性キャラは新しい試みなだけに今田にかかるプレッシャーは相当なもの。ただ、今田は数々のグラビアや、タマホームを始めとする数々のCMなど、一見アイドル的な女優に見られがちだが、実は強い女性を演じるのが巧い女優だったりする。


 これまでの今田の演じてきた役柄のイメージは大きく分けて2つあり、一つは学生役を演じる時に多い、女王様気質で気が強いキャラクター。例えば『3年A組ー今から皆さんは、人質ですー』(日本テレビ系)で演じた読者モデルでクラスの女子のリーダー的存在の諏訪唯月。周りから冷たい目で見られていても、自分の生き方は間違っていないと虚勢を張る中で、その本心が理解された時、必死に気高くしようとしているのに涙が込み上げくる、最後まで自身を貫き通す迫真の演技が感動を呼んだ。


 もう一つは、根が真面目でやさしい役。『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)で、デリヘル嬢という仕事に対し後ろめたさを感じさせない明るくピュアな女性で、プロとして相手を包み込む存在であり続ける姿。別れのシーンでは泣きそうなのに明るく振る舞ったりと、風俗嬢の切なさが滲み出る演技を見事に熱演。『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)でも正義感が強い役柄で、恋愛三角関係を耐える一途な女性を切なく演じていた。


 今田が演じる役柄にどれも共通しているのは、葛藤をしながらも本当の心の強さを持った女性ということ。今田はその中でそれぞれしっかりと役柄を理解し巧みに演じ分けている。そういった意味で、男たちの恨みつらみが錯綜する『半沢直樹』のスピンオフに抜擢されたのも納得の人選だと考える。今回、予告編を見る限り、やる気のない天才型の男と、真面目でやる気のある新入女性社員が、最初はぶつかり合いながらも様々な問題に直面することで、フォローし、次第に惹かれ合い(?)名バディとなっていくと予想され、今作もまさに今田が得意とする強い女性を演じている。とは言え今田は公式コメント(参考:今田美桜、SPドラマ『半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ』ヒロインに 「『倍返し』をできたら」)で「全然私には似てないなと思いながらも、瞳ちゃんのポジティブなキャラクターに元気をもらっています (笑)」と役柄について答えている。


 今までの池井戸潤作品は、会社の中心で働く中年世代の大人たちへの激励とも言える内容だったが、今田が「これから就職する方や同年代の方も勇気づけられる作品だと思います」と語っているように、若い世代にも向けているのが本作の新しさ。『半沢直樹イヤー記念』の先陣として堺雅人にバトンを繋ぐだけでなく、視聴者の世代間を繋ぐ重要なドラマだと考える。そして今回、今田が本格的な社会人という役柄も新鮮で、実年齢が22歳という大卒社会人一年生の年齢でもあり、大人の社会人をどう演じるのか? 女優として学生役から大人へのターニングポイントとなる作品としても注目したいところだ。 (文=本 手)