2019年12月23日 10:51 弁護士ドットコム
「王様ゲーム」と称して、女性にわいせつな行為をしたとして、会社員の男性3人が11月下旬、警視庁に逮捕された。異性を交えた飲み会で、王様ゲームを楽しんだことがある人も少なくないかもしれないが、今回のような事件に発展するケースも起きている。
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報道によると、会社員の男性3人はことし8月、都内のカラオケ店で、「王様ゲーム」と称して、20代の女性2人の身体を無理やり触った疑いが持たれている。
王様ゲームとは、くじで決まった「王様」が、ほかの参加者に命令を出すゲームだ。この命令は「絶対」とされており、罰ゲーム的な意味合いが強い。
しかも、キスやハグなど、性的な身体的接触を命じられることもある。場の雰囲気では、その命令を拒否しにくいときもある。
わいせつ事件にくわしい奥村徹弁護士が解説する。
「たとえば、無理やりキスする行為は、キス自体が『暴行』とされて、直接の行為者が強制わいせつ罪に問われます。着衣の上から乳房・陰部を接触する行為もわいせつ行為と評価されることがあります。ゲーム上の命令ですので、刑事責任が軽減されることはありません」
そもそも、ほかの参加者が嫌がるような命令を出した王様は、強要罪(刑法223条)にあたらないのだろうか。
「強要罪は、暴行・脅迫が要件になりますので、嫌がった参加者に対して、そのような言動があると、強要罪を疑われることがあります。また、無理やりキスなど命じていた場合は、直接の行為者との関係で、『共同正犯』として、強制わいせつ罪に問われます」
かつて王様ゲームは、合コンや宅飲みなど、異性を交えた飲み会で一世を風靡したゲームだ。その文化は今も続いているようだ。奥村弁護士は、次のように警鐘を鳴らす。
「『王様ゲーム』『罰ゲーム』で検索すると、参加者に飲酒を命じて酩酊させたあげく、集団強姦・強姦・強制わいせつに至った例があります。しかも、参加した被害者の性的言動をとらえて承諾があったなどという弁解が通って、無罪になった事例も見受けられます」
【取材協力弁護士】
奥村 徹(おくむら・とおる)弁護士
大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員。
事務所名:奥村&田中法律事務所
事務所URL:http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/