"恋愛資本主義"の打倒を掲げる団体「革命的非モテ同盟」は12月21日、渋谷駅周辺で恒例の「クリスマス粉砕デモ」を実施した。ニコニコ生放送による中継が行われる中、参加者たちは約40分間にわたり、クリスマスの機運が高まる街中を練り歩いた。
同団体の代表、秋元貴之氏(36)は出発前に
「私たちはモテない人たちの集まり。日本の商業主義的クリスマスを粉砕するため、きちんと訴えていきたい」
と改めて趣旨を説明。13年前の同盟結成時から使い続けているという黄色の旗を高らかに掲げて街に繰り出した。
半笑いで見守る20代カップルは「面白い」「いいと思う」
デモは午後1時半すぎに勤労福祉会館前をスタート。警察の先導車に引かれて、参加者20人ほどが行進を始めた。拡声器を持った秋元氏に合わせて
「クリスマス粉砕」「非モテの人権を踏みにじるな」
「リア充は爆発しろ」「カップルは自己批判せよ」
「恋愛資本主義粉砕」
といったシュプレヒコールが次々に飛び出していた。
沿道の反応は、怪訝な顔をする人や二度見する人、面白がって写真や動画を撮影する人などさまざま。スマートフォンを片手に、デモの様子を動画に収めた20代カップルは
「漫画で見たことはあったけど、実際に見てみると面白い」
と半笑いで見守る。彼女は「(デモは)いいと思う」としながらも引き気味だった。
父親がデモの元参加者という小学6年生の男児も、沿道からカメラを構えた。デモを開催する度に父親と一緒に駆け付けて、見守っているという。将来はデモに参加してみたいかと聞くと、恥ずかしそうに「んー」と首をかしげていた。
参加者は「晴れ晴れした気持ち。とてもすっきりした」と満足げ
雰囲気が最高潮を迎えたのは、渋谷の代名詞「スクランブル交差点」に差し掛かったタイミングだ。秋元氏の声にも力が入る。
「みなさん、恋愛は義務ですか。クリスマスという日は恋人同士でおしゃれなカフェやバーで素敵なひと時を過ごさなきゃいけない、そんなものは義務ですか」
「できない人に対して、さげすみの目を向ける。何が楽しいんですか。我々、非モテにも人権があるんですよ」
などと主張し、信号を待つ大勢の注目を浴びながら闊歩した。
ゴールの神宮通公園に着くと、秋元氏は
「非常に充実したデモだった。今年も我々の勝利だ」と勝利宣言。さらに、こう続ける。
「デモをすること自体が楽しいのも続ける理由の一つ。(モテない人間が)卑屈な態度を取ってしまうと、行動に説得力がなくなってしまう。今後も我々なりのやり方で続けていきたい」
また、来週にクリスマス本番を迎えるにあたり、カップルに向けては「世の中には有意義なことがたくさんある。もっと視野を広く持って」と呼び掛けていた。
デモに毎回参加しているという30代男性は
「晴れ晴れした気持ち。とてもすっきりした」
と達成感を感じた様子。だが、「まだまだ世の中にはクリスマス至上主義が絶えない」と来年以降も引き続きデモに参加する意志をのぞかせた。