●オリジナルの赤ずきんと狼を表現
声優・アーティストとして活動する山崎エリイが2019年9月11日より、Erii名義で設立した新レーベル「Cherii Records」。1stシングルでカフェ店員としての姿を見せた彼女が、今回の2ndシングル「Re:member me?」で表現するテーマは「童話×ロック」。
今回は、山崎に発売中の新曲「Re:member me?」や新レーベルの立ち上げ、12月21・23日に行われるライブについて。そして、彼女が考える大人っぽさや、大好きなディズニーなどじっくりと語ってもらった。
○■悩む時間は増えたけど楽しい!
――マイナビニュースとしては新レーベル「Cherii Records」を立ち上げて、Eriiになってからは初めてのインタビューということで、これらの経緯についてもお聞きしておきたいなと。
これまで山崎エリイとしてソロ活動をしていた中で、自分の好きなものや歌ってみたい楽曲がなんとなく生まれてきて、それらをいつか形にできたらいいなと思っていたんです。タイミング的にもちょうどよかったので、新レーベルを作り楽曲を作っていこうと。
――より趣味に寄り添った楽曲を歌うときはEriiになる。
山崎エリイ名義のときは、タイアップなどでアニメに合う楽曲を。そこに山崎エリイをプラスしたらどうなるのかというものが多かったんです。Eriiではかけ合わせるのではなく、個人的な好きをたっぷり入れています。「Re:member me?」だとロックをやってみたかったから、ですね。
――反響や手応えはいかがですか。
最初に発表するときは緊張しました。もちろん山崎エリイとEriiは同じ人物なので、違うのは楽曲だけなんです。受け入れられるのかどうか、そしてどこまで自分を出していいのか不安がありました。でも、イベントを重ねるごとに、「今度はまた違う山崎エリイが見られるんだな」と理解してもらって、安心しました。自分でどうするべきか、なにを作りたいのかを考える時間が増えたので、悩むことも多いです。でも、楽しいですね!
――そして今回出来上がった「Re:member me?」は童話とロックを組み合わせた楽曲になりました。
もともとおとぎ話が好きなので、楽曲として作ってみたいとは考えていたんです。同時に去年くらいからロックもやってみたかったので、かけ合わせちゃおうと。これまでにないサウンドやビジュアルにチャレンジできたんじゃないかなって。
――「Re:member me?」では「赤ずきん」がテーマになっていますね。いろんな物語がある中で「赤ずきん」をチョイスした理由は?
まずロックと合うのはどんなお話かなと考えました。童話ってお姫様のようなメルヘンなものから、『ヘンゼルとグレーテル』みたいに怖いイメージなものもある。そのなかでロックとかけあわせてしっくりくるのは、狼が出てくる「赤ずきん」なのかなって。色合い的にも赤ずきんの赤と、狼の黒っぽいイメージもロックっぽいなあって。
――楽曲を聴いた際の第一印象はいかがでした?
最初にたくさん打ち合わせをして、自分が作りたい世界観を考えていきました。オリジナルでストーリーを作ったほうが、独特の怪しい雰囲気が出るんじゃないかなって。ジャケット写真も、赤ずきん風の衣装で赤いケープを羽織っているんですけど、狼の耳も生えているんです。これは「赤ずきんが実は狼だった」という設定があるんです。こうやって話していった設定を楽曲にしていただいたんですけど、「4分弱の楽曲なのにこんな綺麗にまとまるんだ!」って驚きました。
○■持っているテクニックが一切通用しない
――自分で一から作っていった楽曲だけにレコーディングも楽しそうですね。
それが……大変でした。これまでにもガールズロックに近いものや、声を張っている楽曲はあったんですけど、純粋なロックを歌ったことがないので、歌い方がわからなくて、ゼロから学んでいきました。低い声で歌おうとしてもそっちに気を取られて、これは違うぞ……って。私の持っているテクニックが一切通用しなくて、「これはレコーディングが終わらないんじゃないか」ってパニックでした。
――そこからディレクションで軌道修正をしていったと思いますが、印象に残っている箇所はありますか?
「Re:member me?」の1番は赤ずきん、2番は狼をイメージしていって、Dメロからどっち目線なのかがわからなくなるという歌詞なんです。Dメロの"水面にあるその瞳も 面影のある口許も"の部分を、最初は普通に歌っていたんです。ここの"口許"を、女の子っぽくはいかないまでも、ちょっとだけ甘いニュアンスで歌っているんです。赤ずきんなのか狼なのか、どちらかわからないというのを表現しています。少しでも楽曲に寄り添えるようにって頑張りました。
――なるほど……細かい……。そのほか、歌詞で気に入っている部分などは。
サビなんですけど、1番では"もう止められないの"、2番では"もう止まりはしない"、最後は"もうどうにも出来ずに"と、目線が変わっていくところが、とても面白いと思いました。実は、最初は1番2番で赤ずきんと狼の目線が入れ替わるのを知らずに聴いていたんです。「もしかして、同じシーンでお互いが思っていることが歌詞として書かれているのかな」と思っていたら、打ち合わせのときに答え合わせをしてもらって、印象に残っていますね。
あと、Bメロで、1番は"花詰む乙女は 無自覚なままそっと 頬を染める"、2番は"傾く乙女を 無防備なままそっと 耳に触れる"とあるんですけど、この無自覚と無防備とか、似たようで違う表現になっているのが気に入っています。こういった違いを、聴いていただく方にもチェックしてもらいたいですね。
――意識しないと気付かない。普通の赤ずきんと狼の話ではないですもんね。
そうなんです。だいぶオリジナルが込められているので。
――タイトルに込められている意味もね。
はい。最初に赤ずきんや狼というテーマを出さずに「Re:member me?」というタイトルだけを発表したら、みんな「どういうこと?」とざわってなって。曲を聴いてもらえれば「なるほどな」となると思います。ぜひフルでストーリーを感じてください。
●山崎エリイにとっての大人とは?
○■新幹線にチャレンジ!?
――カップリングは「ネガイゴト」。大人っぽい印象になりましたね。
私がまだ知らなかった世界や雰囲気というか……。ジャズということもありますけど、ムードのある雰囲気が難しくて、レコーディングでは何回も「大人ってなんだろう」と考えながらやり直していきました。
――「ネガイゴト」はジャズをやりたかったから生まれた楽曲ですか?
はい! それと、「Re:member me?」が出来上がってカップリングをどうしようと考えたときに、明るい楽曲にはしたくなかったんです。同じようなロックをやるのも違うので、どんなジャンルをやろうか考えたときにジャズをやってみたいなって思ったんです。でも、こちらも難易度は高かったです。
――どれだけ大人になれるかと。
そうなんですよ。でも、もう22歳なので「大人とは……」なんて言ってられないんですけど(笑)。自分にはないものが詰まっていて、どれだけ背伸びを重ねて大人の雰囲気に近づけるか、レコーディングはてんてこまいだったけど、表現するのが面白かったです。
――どういう風に表現されたんでしょうか。
自分で歌うとまるで出てこなかったんです。最初に声出しで、自分の声でナチュラルに歌ったら全然違う曲になってしまって、これは繕わないといけないと思いました。そこからキャラクター化しようと。まったく別の人間に置き換えてみたんです。歌うときに息を多めに入れてみるとか、かすれさせてみるとか、部分で歌い方を変えていきました。
――大変さが伝わってきます……。ちなみに、山崎さんが思う「大人っぽさ」とはなんなのかが気になるところですが。
うーん、言ったら引かれると思います。
――え、なんですか。
う~。私はひとりで行動すること自体が大人だと思っていたんです。自分で計画して行動することが。あとはスタバでコーヒーをテイクアウトしてさっそうと歩く……みたいな。でも、そういうレベルじゃなかった……。「ネガイゴト」をいただいて、大人というものを履き違えていたなと思いました。
――なるほど……それらは実践されたことは? 新幹線に乗るとか。
新幹線とか……飛行機とか……。
――ひとりで乗ったことは?
それは……ない……です……。
――スタバは?
スタバは出来ます!
○■リリースのたびに新しい発見を
――楽曲やライブの演出などもそうですけど、山崎さんの楽曲は世界観が完成しているイメージがあります。それらを表現するために心がけていることはありますか?
良い意味で、自分をなくしています。特に悪い雰囲気の曲とかハイテンションな曲は、自分のままだとなんにもできなくて……。その振り幅についていくには、自分を消さないと出来ないんです。普段の自分を見せたら終わりなところがあって……MCではどうしようもないんですけど(笑)。音楽がかかった瞬間から変わろうという努力をしています。
――楽曲にストーリーがあるものも多いですしね。
多いんです~。盛り上がる楽曲よりも、雰囲気重視なものも多いので、ライブでは楽曲に参加してもらうというよりも、ひとつのストーリーを眺めてもらうというのが正しいかもしれないです。
――そういった意味でも圧倒されます。2018年12月に開催されたワンマンライブ「山崎エリイ SPECIAL LIVE~夜明けのシンデレラ~」での「ラズベリー・パーク」はすごかった。9分近くの物語を展開されて。
あれはドキドキでした……。9分もある楽曲をどうやって表現しようかと。あのときに印象的だった出来事があって。楽曲がスタートしたときに、サイリウムを振っている方が多かったんですけど、みなさんどんどん振らなくなっていったんです。ステージからみると、「あれ、どうしたのかな」って。リズミカルな曲でもないですし、振るというよりも、そのまま持っているという状況で。
――聴き入る、見入るということばがぴったりでしたね。
そういった雰囲気の中、Eriiでの1stシングル「Cherii」や「Re:member me?」が入ってくるとどういったライブになるのか、楽しみです。
――今後やってみたい楽曲はありますか?
今回で「山崎エリイってロックをやるの!?」と驚いたと思うんです。今回に限らず、毎回驚いてもらえたらいいなと思います。リリースのたびに新しい発見があるんだなって思ってもらえるものを作っていきたいなと思います。
――次の構想ももう?
なんとなーくですけどね!
――ライブで「こういう演出をやってみたい」とかは?
これまでは間に朗読を挟んだり、クラシックバレエを踊ったりしているので、いろいろやってはいるんです。でも、1曲のなかでガッツリとダンスをしたことはないので、踊ってみたいですね。
●「アリスのティーパーティー」は競技!?
○■初めてづくしのワンマンライブ開催
――Eriiでは山崎さんがチャレンジしたい楽曲にトライしています。プライベートでやってみたいことはありますか?
スキー! 小学生のときに1回やったことがあるんですけど、まともに滑れなかったので、リベンジをしてみたいです! あとはのんびり観光をしたいですね。和が感じられる場所に行って、旅館でほのぼの過ごしたいです。
――結構お出かけをしたいんですかね。お休みの日も外に出ることが多い?
ディズニーに行くとき以外はほとんど出ないです。ディズニーに行くときは、朝から「よし、行くぞー!」って感じなんですけど、それ以外はほんとに休むというか、充電しています。
――ディズニーはどのくらいの頻度で行きます?
多いときは月に3回は行っていたんですけど、いまは年に最低4回は行ければいいかな。春夏秋冬で。
――ランドとシーではどちらが好きとかはあります?
目的によりますね。キャラクターが好きなのはシーで、シェリーメイが特に好きなんです。アトラクションだとランドですね。「アリスのティーパーティー」によく乗ります。
――ティーカップの。
真ん中のハンドルを回すと速度が上がるので、それを全力でまわして手にタコができるくらいまでがんばります。友だちからは「ディズニーに一緒に行かないと知らない姿がそこにある」と言われました(笑)。
――「ティーパーティー」まではすごくイメージに合うんですけど……。
もう勝負なので!「回すときに手の角度がこうなっていると効率がいいぞ」みたいな。時間内に何回まわせるか、競技ですね。
――目がまわることはないんですか?
全然ないんですよ。クラシックバレエを習っていたので、三半規管が強いのかも。回るのが得意なんです!
――そういうものなんですね……。話は戻って、次の大きなライブは「「山崎エリイ 4th LIVE 2019 」が開催されますね。12月21日には「~Fairy tale~」、23日には「~Fairy night~」と2部構成になっています。
はい。いろいろとはじめてが多いライブになっています。演出面もそうですし、会場もスタンディング。そして山崎エリイの楽曲と、Eriiの楽曲がミックスされているライブもはじめてです。楽曲の幅が増えた分、これまで表現することがなかった自分を出せるようにがんばらなきゃって思います。2部構成なので、ふたつとも楽しんでいただければと思います。
○●Erii、2ndシングル「Remember me?」
価格:1,455(税抜)
01.Remember me?
02.ネガイゴト
○●山崎エリイワンマンライブ
「山崎エリイ 4th LIVE 2019 ~Fairy tale~」
日時:12月21日
会場:harevutai
1部 開場14:30/開演15:30
2部 開場18:00/開演19:00
チケット料金:6,500円(税込)
「山崎エリイ 4th LIVE 2019 ~Fairy night~」
日時:12月23日
会場:harevutai
開場18:00/開演19:00
チケット料金:6,500円(税込)(加藤大樹)