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ラップバトルで罰ゲームにZeebraが心痛「もう若いラッパーが死ぬのを見たくない」

2019年12月20日 16:52  Techinsight Japan

Techinsight Japan

「あまりにも悲しい出来事に心が痛い」とZeebra
神奈川県川崎市の多摩川大橋付近で、友人たちとラップのテクニックを競うラップバトルで遊んでいた高校1年生が亡くなった。神奈川県警によると19日の夜9時過ぎ、ラップバトルに負けた罰ゲームで川に飛び込んだまま浮いてこず、友人の通報で駆けつけた消防隊員が川底に沈んでいるところを発見したが、病院で死亡が確認されたという。報道で知ったヒップホップMCのZeebra(48)が20日、Twitterで「川崎の件。あまりにも悲しい出来事に心が痛いです」とラッパーとしての心境をつぶやいた。

彼は「もう若いラッパーが死ぬのを見たくありません。被害者の方のご冥福をお祈り致します」との思いから、ヒップホップについて持論を述べている。

本場アメリカでも「ヒップホップの精神」には世代間で乖離があり、昔は反対していたハードドラッグで命を落とすラッパーが増えているという。

日本におけるヒップホップもZeebra世代がそうであったように、その時代のティーンや20代が状況を正すために行う革新的なもので、決して保守的な大人が作ったものではない。

そうした趣旨のもと「問題が増えてる今こそ、ポジティブな意識を持つ事がカッコいいヒップホッパーなんじゃないかなと思います」というものだ。

Zeebraの投稿には、ラッパーのフォロワーから「全くその通りだと思います」「今回の事件で不幸になられた方の冥福を祈りながら、僕は僕でポジティブな素晴らしいHIPHOP精神を僕も意識して行動しますね」と反響があった。

ZeebraはDJ OASISとユニット・POSITIVE VIBEを組んで六本木や渋谷を中心に活動するなか、1993年にK DUB SHINE(Kダブシャイン)が加わり3人でヒップホップグループ・KGDR(キングギドラ)を結成した。

ソロアーティストとしても活躍するほか、俳優として映画やドラマにも出演している。ラッパーに詳しくない人でも、彼がゲストボーカルで参加したDragon Ashの5枚目シングル『Grateful Days』(1999年)のフレーズ「悪そうなやつはだいたい友達」は耳にしたことがあるのではないだろうか。

日本にヒップホップが普及し出した頃からすると、最近では商業的な楽曲も多くなり本場アメリカと同じく「ヒップホップの精神」がぶれてきたように思える。

Zeebraは今回の悲しい事故から「MCバトルだけじゃなくヒップホップの精神を伝える」必要性を改めて感じ、「我々がまず向き合わなくてはいけないのはそもそも今のヒップホップが正しいのかという事。上の世代も上から目線ではなく、下の世代も何でも『老害』と切り捨てずに考えていけたら」と呼びかけた。

またKダブシャインがTwitterで「ラップバトルで罰ゲームなんて断じてヒップホップではない…メディアがバトルだけ取り上げて、ちゃんとカルチャーを伝えないから、悪質なバラエティ番組みたいな真似をするんだ」と警鐘を鳴らせば、SIMON JAPは「ラップバトルで負けたって罰ゲームなんかしなくたって良いよ 俺なんか何回負けてると思ってんだ 命あってなんぼだろ 生きてればこれからなんだって頑張れるんだから」とツイートしており、ラッパーたちのショックは大きいようだ。

画像2枚目は『Zeebra Newsfeed 2019年4月2日付Instagram「@cherrychillwill ・・・Happy bornday to the Legend and Activist in Hip Hop」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)