東京春闘共闘会議と東京地方労働組合評議会(東京地評)は12月18日、厚生労働省で記者会見を開き、都内で普通の生活をするのに必要な金額を試算する「最低生計費調査」の結果を発表した。
調査は5月にアンケート形式で実施し、3238人から回答を得た。うち、411人を占める若年単身者のデータを元に、新宿、世田谷、北の3区に住む25歳単身者を対象モデルとして算定。時給換算は、お盆や正月には休日を取るなどを考慮した月150時間で算出している。
持ち物を調査し、食費や生活必需品の費用を積み上げたところ、住環境を重視した「世田谷区モデル」では、男性で月額25万9471円、女性で同25万6191円が必要なことが分かった。主な内訳は、25平米ワンルームの家賃に6万3000円、交通費に6233円など。
コスパ重視の「北区モデル」 家賃5万5000円
職場などへのアクセス面を重視した「新宿区モデル」では、男性で同26万5786円、女性で同26万2506円と3区のうち、最高額だった。家賃は7万3000円と世田谷区を1万円上回った一方、交通経費については自転車代の531円(耐用年数2年)のみに抑えられている。
生活費の節約を重視した「北区モデル」では、男性で同24万9642円、女性で同24万6362円に。家賃は5万5000円と大きく抑えられていた。交通費も6137円と世田谷区と大きく変わらず、赤羽や王子といったエリアが人気を集める理由がうかがえる。
このほか一律の出費項目としては、自炊・外食を含めた「食費」に男性4万4361円、女性3万5858円を想定。「家具・家事用品」(男性:2540円、女性:2703円)、「被覆・履物」(男性:6806円、女性:5302円)、「理美容費」(男性:3492円、女性:6300円)なども含めている。
また、25歳単身者の「普通の生活」の定義については、勤務先を新宿とした上で
・家電は量販店の最低価格帯のもの
・朝晩は家でしっかりと食べ、昼食は、男性はコンビニなどでお弁当を買い、女性は昼食代を節約するために月の半分は弁当を持参
・休日は家で休養していることが多い。帰省なども含めて旅行の費用は年9万円
と細かく設定している。
「最低賃金は少なくとも1500円でないと普通に暮らすことはできない」
試算の月額を賃金収入で得ようとした場合、時給換算で1400~1500円が必要なことになる(中央最低賃金審議会で用いる労働時間=月173.8時間で除算した場合)。しかし、これはあくまで盆や正月も休まずに働いたケース。より現実的な月150時間で計算し直すと
「(エリアによっては)1700円以上に達し、少なくとも最低賃金は1500円でないと、普通に暮らすことはできない」
と結論付けた。
東京労働局は10月、最低賃金を従来の985円から1013円に引き上げたばかり。しかし、若者が都内で生活するためには、依然として金額面で不足していることが浮き彫りになった格好だ。主催者側は今回の調査結果を踏まえた上で「最低賃金1500円以上への引き上げを目指す」として関係各所への働きかけを展開するほか、2月にシンポジウムの開催を予定している。