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日向坂46、幻の楽曲「日向坂」テレビ初披露に込められた意味とは? パフォーマンスや歌詞から考える

2019年12月19日 12:52  リアルサウンド

リアルサウンド

日向坂46『こんなに好きになっちゃっていいの?』(通常盤)

 日向坂46が12月11日放送の『2019 FNS歌謡祭・第2夜』(フジテレビ系)にて、「日向坂」と「こんなに好きになっちゃっていいの?」を披露した。「日向坂」は、3月5日と6日に行われた『日向坂46 デビューカウントダウンライブ!!』のために秋元康が書き下ろしたもので、これまで一度しか歌われず音源化もされていない幻の楽曲。そのため、視聴者のなかには同曲を知らない人も多かったことだろう。そこで今回は、「日向坂」という楽曲に込められたメッセージや、同放送で披露された意味を改めて考えてみたい。


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 そもそも『日向坂46 デビューカウントダウンライブ!!』は、グループが「けやき坂46」から「日向坂46」へ改名し、シングルデビューを目前に控えたなかで行われた公演。前半は「けやき坂のラストライブ」、後半は「日向坂のデビューライブ」といった構成になっており、シングルデビューまでの3年間の思いが凝縮されていた。そして、そんななか、最後にサプライズ的に披露されたのが「日向坂」だった。〈先を歩く誰かの背中 ずっと後を追いかけて〉や〈大きな木の側にいたからいつも日陰だったけど〉など、結成当時からグループを見守ってきた秋元だからこそいえる「欅坂とけやき坂の関係性」がストレートに描かれている。また、〈ひらがなで学んだ 色々なこととか/思い出す度 胸が詰まる〉といったフレーズからは、けやき坂時代の3年間の下積みとこれから築いていく“新しい坂道”への期待が込められているように感じ、胸が打たれる。まるで欅坂から卒業する日向坂の送辞のようだ。上村ひなのが、同曲について「思い出の1曲」というのも頷ける。


 では、そんな「日向坂」をなぜ『FNS歌謡祭』で披露したのだろうか。「キュン」や「ドレミソラシド」のキュートなダンスで“新しい坂道”を作ってきた彼女たちが、「日向坂」では演出や振り付けを極めてシンプルにし、メンバーが横一列になって歌っていた。それは「誰がフロントか」ではなく「日向坂はみんなが主人公である」というメッセージではないだろうか。同時に、自分たちをまだ知らない人たちに向けて、「日向坂46」がどういったグループなのか伝えているようにも感じた。さらに、最新曲「こんなに好きになっちゃっていいの?」へと続く流れも感慨深い。「こんなに好きになっちゃっていいの?」は、彼女たちのクールな姿が印象的であり、グループの新たな一面を見せた楽曲。日向坂の“始まり”と“現在”を思わせる演出だ。また、ファンにとっては、走馬灯のように彼女たちの歴史が頭の中を駆け巡ったに違いない。


 2019年、急成長を成し遂げた日向坂46。今回の『FNS歌謡祭』でのパフォーマンスでは、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)をはじめとした音楽特番、そして先日大成功を収めたデビューイヤー最大のイベント『ひなくり2019 ~17人のサンタクロースと空のクリスマス~』が控えていたこともあり、「日向坂46」の自己紹介的な意味も含められていたのだろう。また、来年には、4thシングルリリースやドラマ『DASADA』(日本テレビ系)の放送、さらに彼女たちの最大の目標だった東京ドーム公演も決まっている。このタイミングで「日向坂」を披露できたことは、今後も飛躍し続けるであろう彼女たちにとって、初心を忘れない心がけとなる重要な出来事だったのではないだろうか。(本 手)