2019年12月18日 14:22 弁護士ドットコム
ジャーナリストの伊藤詩織さんが性暴力被害を訴えていた裁判で12月18日、330万円の支払いを命じる判決を受けた元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんが控訴する方針を明らかにした。
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同日午後、東京都内で会見し、「判決について、内容にまったく納得いかないので、すぐに控訴します。私は法に触れる行為はしていません」と述べた。
会見に同席した文芸評論家の小川榮太郎さんは「曲学阿世、邪悪そのもの。そういう感じをまったく禁じ得ない驚くべき判決でした」と語った。山口さんの代理人をつとめる北口雅章弁護士は「納得のいかない判決ですので、矛盾点を精査して控訴審にのぞみたいです」と話した。
山口さんは、控訴する方針をまず述べた後、その理由について次のように語った。
「私は法に触れる行為は一切していません。私たちが客観的な証拠で伊藤さんの矛盾点を主張したが、検証されることなく、事実認定がないまま、判決では無視されています。高等裁判所の控訴審では、強く訴えていきたいです。
刑事事件の捜査の段階で、警視庁の担当者は、山口さんの言っていることも、伊藤さんの言っていることも矛盾しないんだ、その主張をブリッジするのは、アルコール性健忘だと。
伊藤さんが一度、深夜に目を覚ましましたが、記憶が飛んでしまったということで、刑事事件は不起訴になりました。検察審査会でも不起訴相当と出ています。それについても、判決で触れられていないのは、不服とするところです」
また、山口さんはこれまでのメディア報道が、判決について与えた影響について懸念を示した。
「私は今まで、伊藤さんが一昨年、会見をして以降、会見を一切してきませんでした。なぜかというと、訴訟に集中すべきだという北口弁護士のご助言があったからです。
しかし、今回の判決については、一方的に伊藤さんの主張だけが根拠なく事実認定されてしまった。私が2年間、沈黙している間に、ニューヨークタイムズやBBCなどが海外でも一方的に伊藤さんの主張を報道されました。
こうした報道が判決に影響したのでないかと残念に思っています。沈黙がマイナスの判決につながった可能性が否定できない。今後は取材も受けますし、情報もご提供していくので、フェアな報道をしていただきたい」
また、山口さんは、名誉毀損だとして慰謝料など1億3000万円や謝罪広告を求めて反訴していたが、「公共性および公益目的がある」として棄却されたことについても、控訴すると明かした。