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《茨城・美浦村》女子学生に強制わいせつ、78歳 “元NHK俳優” の怪しげな職歴

2019年12月18日 04:00  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

犯行現場の自宅は塀ぎわに地蔵、埴輪、ミッキーマウスを並べるなど異様な雰囲気=美浦村

「派手なおじいさんで、赤いニット帽に赤い上着を羽織り、柄つきのジーンズをはいている。車を何台も所有していて、よく車高の低いスポーツカーを乗り回していた。広いお屋敷にひとり暮らしだし、どこか近づきがたい存在でしたね」

 と、事件現場になった自宅周辺の女性住民は眉をひそめる。

目をつぶったときに

 茨城県美浦村の職業不詳・石塚重夫容疑者(78)が強制わいせつの疑いで県警稲敷署に逮捕されたのは12月5日のことだった。

 同署によると、人生相談に乗っていた県内の女子学生(19)を11月15日に自宅に連れ込み、午後10時ごろに無理やりキスをしたり、下着の中に手を入れて下半身を触るなどのわいせつ行為をした疑い。容疑を否認している。

「石塚容疑者は“気を入れようか”と語りかけて犯行におよんでいる。お祓いを受けるイメージで目をつぶった女子学生は、突然の行為にびっくりして泣きながら抵抗したため、犯行はそこでやめている。手をかざして念を送られるなどと思っていた女子学生のショックは大きく、許しがたい犯行だ」(捜査関係者)

 2人の接点は、石塚容疑者が同県常総市内のプレハブ小屋で実施する“悩み相談”だった。

「6~8畳ほどの狭い室内に仏壇や仏像などを並べ、一見、仏教施設に見えたようだ。容疑者は『遵凡且法』と名乗って名刺もつくり、施設内では『導士』と呼ばれていた。しかし、宗教法人格を持っているわけではなく、趣味として集めた仏像などを置いていただけ。特に宣伝・広告はせず、口コミだけで相談者を集めていた」(前出の捜査関係者)

 相談者には女性が目立ち、主婦や会社員など年齢層は幅広かった。若い人はそれほど多くなかったとみられる。

 被害に遭った女子学生は、知人から「相談に乗ってくれる人がいるから話してみたら」などと容疑者を紹介され、この知人と一緒に施設に出入りするようになった。やがて石塚容疑者と連絡先を交換し、1対1で施設以外でも会うようになっていった。

「オレは俳優だ」

 石塚容疑者は取り調べに「自分は俳優だ」と主張し、NHKの大河ドラマ『草燃える』(1979年、石坂浩二主演)に出演したと話している。たしかに同姓同名の俳優の顔写真つきタレントデータがあり、容疑者はタブレット端末で所属事務所のページを相談者に見せて「こういうふうに登録しているから」などと信用させていた。

 この事務所に所属の有無を問い合わせると、「確認中のため答えられない」と回答。

 容疑者と旧知の男性は「顔写真やプロフィールは本人に間違いない」と言い切る。

「自慢げに“オレは俳優だ”とよく話していた。話が長いのでうんざり。ただ、口がうまく、うっかりすると話に乗せられそうになる」(同・男性)

 本業は、無職なのか、俳優なのか、人生相談アドバイザーなのか─。

 石塚容疑者は、同県坂東市岩井の出身。地元関係者などによると、落花生加工業を営む裕福な一家に長男として生まれた。

 地元の小・中・高校を経て家業の加工工場を手伝うようになり、高度経済成長期には戦後需要の多かった襖製作の工場に切り替えた。地域ではいまでも“落花生屋の倅”で通る有名な人物だ。

「身長約170センチでスラッとしたハンサム。年下の写真店の令嬢と結婚し、夫婦でラーメン店を経営した時期もあった。まだカラオケが珍しかった当時、店にカラオケを導入して話題になったこともある。時代を先読みしたがる男だった」

 と実家周辺の70代男性。

 最初は斬新だったカラオケつきラーメン店の売り上げが伸び悩むようになると、今度はダンスホールをまねてか、ダンスを踊れる居酒屋に業態を変えた。

「'80年代には、バブル景気にやや先んじて不動産業を立ち上げています。おそらく最も長く続いた仕事で、バブルに乗じてそうとう儲けたと噂されています」(地元の70代女性)

 会社登記によると、不動産の売買・仲介・管理のほか建築・土木工事、損害保険代理業、旅館業もカバーし、資本金は1000万円。「髪型をオールバックにして羽振りがよかった」(同・女性)という。

スキンヘッドにして教祖になった

 しかし、'90年代に入り、バブル崩壊で不動産業が不調になるや、“副業”に精を出すようになった。

「軍鶏をケンカさせる『闘鶏』を始めたんだ。趣味でレース鳩もやっていたから鳥が好きなのかもしれない。くちばしや脚で目を突き合い、負けると軍鶏鍋にされちゃうから残酷。地元住民には不評で、ほとんど軌道に乗らなかったはず」(前出の70代男性)

 世紀末が近づくと、スピリチュアルな世界にのめり込んでいく。唐突に運勢占い師や祈とう師を名乗り、2000年以降は距離をおく人も増えたという。

「父親は約20年前に亡くなっており、4年前には母親も病死した。母親の葬儀にはスキンヘッドで僧侶のような格好で参列し、“信者”の女性を何人か連れて来ていた。宗派の説明はなかったが、教祖になったという話だった」(参列した女性)

 犯行現場となった美浦村の民家は7年前に競売物件として購入。坂東市の妻子や孫と離れ、鎧などの骨董品に囲まれる生活を送っていた。

「盗難防止のため塀を高く改修し、防犯カメラを4つもつけて屋敷の敷地内を覗けないようにしている。知人に“まだ心配だからドーベルマンでも飼おうかと思っている”と話していたらしい」(美浦村の男性住民)

 僧侶になるための修行をしたわけではないし、自宅前の地蔵の隣にはミッキーマウスの銅像を並べるなど、いい加減さは際立っている。

 複数の親族に取材すると、「うちは関係ないから」と異口同音にピシャリ。関係性の深い親族まで「付き合いはないし、本当に関係ない。考えると頭が痛くなる」と突き放す始末だった。

 意外な一面もある。今年3月末、坂東市の地元小学校に「感謝の思いと子どもたちのために」として図書費30万円を贈呈。同校は絵本や『ざんねんないきもの事典』シリーズなどの購入にあてるとしている。

 孫よりも若い女子学生を泣かせた卑劣な嫌疑が事実ならば、煩悩にまみれた石塚容疑者も“ざんねんないきもの”に加えなければならない。