2019年12月17日 10:12 弁護士ドットコム
公務員や会社員など多くの人に冬のボーナスが支給される12月10日。「ボーナス」がツイッターのトレンド入りし、喜びの声が多数見られました。
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一方で、この日、「約2カ月育児休暇を取った夫のボーナス査定が最低評価になった」という女性のツイートも話題になりました。
女性はツイートで「こんな仕打ちあんまりだよ」と嘆いていましたが、「休んでた社員と差をつけるのは突然」、「休んでたからプラス評価する材料が乏しかったってこと」といった声も寄せられていました。「私も半年育休なので来期のボーナスはゼロです」と似たような状況の男性もいました。
では、育休中のボーナスの取り扱いについて、法的に決まりはあるのでしょうか。今井俊裕弁護士に聞きました。
ーー育休取得によりボーナスが減ったという人は、多いかもしれません
会社側からも労働者側からも、賞与の査定や育児休業の取得について相談を受けたことがあります。
育児休業は労働者の権利であり、その申出や取得をしたことを理由として、労働者に対し解雇その他不利益な処分をしてはならない、と育児休業・介護休業法では定められています。
育児休業を取得したこと自体を直接の原因とする賞与の減額などは、育介法の規定に反し、許されません。仮に、育休を原因として、減額された金額しかボーナスが支給されなかったとすれば、残額の支払請求権があるので、これを行使できます。
ーー育休取得を理由としない場合の減額は、どうなりますか
取得したこと自体を直接の原因とする減額ではなく、賞与の支給条件について規定された賃金規程などの具体的な定めがあれば、これは一概に違法や無効とはいえません。例えば「賞与算定間の出勤率も考慮した上で、その割合に応じて減額する」といった定めです。
ーーそうなると、育休をとったことで結果的に、ボーナスに差が出てしまうのは仕方がないのでしょうか
会社の就業規則などに、そうした定めがある場合は、一般的に出勤率がその他の従業員よりも少なかったことが理由で賞与が減額されるでしょう。しかし、それは「育児休業を取得したこと自体が原因であるとは言えない」とされる傾向にあります。
ちょっと屁理屈のような印象を与えるかもしれませんが、現在の育児休業法の解釈ではこのような解釈が一般的です。ただし、「育児休業を取得した場合は、全額不支給」なんて規定はもちろん無効です。
【取材協力弁護士】
今井 俊裕(いまい・としひろ)弁護士
1999年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における、開発審査会の委員、感染症診査協議会の委員を歴任。
事務所名:今井法律事務所
事務所URL:http://www.imai-lawoffice.jp/index.html