2019年12月15日 11:12 弁護士ドットコム
息子の結婚に反対する両親が、アポなしで息子と交際相手が住む家を訪問。ドアをどんどん叩いて「出てこい!」と3時間わめき続けたが、不法侵入ではないのか? そんな相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。
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相談を寄せたのは息子の交際相手です。彼氏とは結婚するつもりで交際をはじめ、現在は妊娠中です。ところが、その両親は大反対。両親は、会えば暴言を吐いてくるため、その日もインターホンには出ませんでした。ところが、両親はなぜかオートロックを突破し、部屋の前まで来ると、ドアを叩き続けたそうです。
彼から「帰ってくれ」と電話をしてもらいましたが、それでも「3時間ほど部屋の前に居座った」と明かします。自宅は相談者名義。住所は教えていなかったため、なぜ両親が自宅に来たのかも不明です。
この義両親の行為は、法的な問題はないのでしょうか。また今後も、このような迷惑行為がある場合、何らかの法的な措置はとれないのでしょうか。中川浩秀弁護士に聞きました。
「今回のケースで、義両親の行動は、法的にかなり問題があると言えます。刑事、民事で両方の責任を問える可能性がありますので、それぞれ簡単に説明します。
まず、当該男女が未成年でない限り、結婚に際して親の同意は不要です。慣習的な問題はさておき、日本の民法は成人した男女は双方の自由意思で結婚をすることを認めているのです。したがって、成人した男女の結婚を止める権利は、親にはありません。
以上を前提に、まず刑事上の責任について説明します。刑事上の責任が発生する状態とは、犯罪が成立して刑事罰に問えるということです」
ーー今回の行為は、どのような犯罪に該当し得るのでしょうか。
「刑法130条における住居侵入等罪です。
義両親は『招かれざる客』としてオートロックを突破してマンションの共用部分に侵入していますし、その後帰るように伝えたにもかかわらず3時間以上も立ち去りませんでした。いくら義両親だからといって許される行為ではなく、住居侵入等罪が成立する可能性が高いと言えます。
この場合は、『三年以下の懲役又は十万円以下の罰金』が科せられる可能性があります。義両親が立ち去らない状態で警察に通報すれば、警察がかけつけて義両親は現行犯逮捕される可能性すらあります」
ーー民事については、どうでしょうか。
「民事上の不法行為に基づく損害賠償請求も考えられます。ただし、こちらは後の請求で金銭的解決を図ることになるので、今目の前にある危機を回避するにはあまり役立ちません。
以上から、まずは被害届を提出するなど警察に相談する、もし次回このようなことが起こってしまった場合は直ちに警察に通報するということをおすすめします」
【取材協力弁護士】
中川 浩秀(なかがわ・ひろひで)弁護士
企業法務・一般民事事件・刑事事件と、ジャンルを問わず幅広い案件を取り扱っています。お困りの際はぜひご相談ください。
事務所名:東京スタートアップ法律事務所
事務所URL:https://tokyo-startup-law.com/