2019年12月12日 07:02 リアルサウンド
Googleが所有するYouTubeは12月2日、コンテンツに関するポリシーを更新し、暴力的なシーンが含まれるビデオゲームの年齢制限を原則として撤廃した。新しいポリシーは、広告ガイドラインには適用されない。
(参考:YouTubeがまたも規制強化、“子供向け”を装った不適切動画を取り締まり)
・実際の暴力と、映画、テレビ、ゲームの暴力は別物
実際の暴力と、映画、テレビ番組、ビデオゲームで見られるような台本やシミュレーションの暴力との間には違いがある。今後、暴力を含むゲームのアップロードは、年齢制限されずに、承認される。動画が、最も暴力的なグラフィック部分に焦点を合わせている場合は、年齢制限を引き続き行う可能性はあるとYouTubeは記している(参考:https://support.google.com/youtube/thread/21744943)。
アメリカで銃乱射事件が絶えないことについて、近頃ドナルド・トランプ大統領は、ビデオゲームを問題視する発言をした。しかし『CNN』は、暴力的なビデオゲームと実際の暴力の明確な関連性はないという専門家の意見を多く紹介している(参考:https://edition.cnn.com/2019/08/05/health/video-games-violence-explainer/index.html)。
GoogleとYouTubeはまた、ドナルド・トランプ陣営が出稿した少なくとも300点以上の政治広告を虚偽で陰謀的でポリシーに反するとして、削除し話題を呼んでいる(参考:https://www.tubefilter.com/2019/12/02/youtube-removed-donald-trump-campaign-ads-policy-violations/)。
YouTubeが今回のタイミングでポリシー変更を行ったことは、トランプ大統領の発言により、米国内で議論が高まったことが背景にあるのかもしれない。2020年に大統領選を控えるトランプ大統領側としては、世界第2位のソーシャルメディアで、影響力の大きいYouTubeに、自身の発言内容を真っ向から否定されたということになる。
・2019年以降、関連動画に30以上の変更
『The Verge』はその他にも、YouTubeが多くの対策を行っていることを伝えている(参考:https://www.theverge.com/2019/12/3/20992018/youtube-borderline-content-recommendation-algorithm-news-authoritative-sources)。
YouTubeは、何が変更されたのかを正確には述べていないが、2019年1月以降、関連動画には30以上の変更が加えられている。たとえば、医療処置に関するビデオの有効性に関するガイダンスを提供して、誤った情報の拡散を制限するために、機械学習システムを使用している。
・YouTubeのCEO『微妙なバランスを維持することに注力している」
また正確性と信頼性が重要なニュース、科学、歴史については、信頼できる情報源を明らかにしているかを評価基準に盛り込んでおり、該当する動画は上位表示されやすくなっているという。
コミュニティガイドラインに明確には違反していないが、それに近いボーダーライン上のコンテンツは、米国のYouTubeで視聴されているコンテンツの1%程度だとし、外部モデレーターが特定の基準で動画を判断していることを明かした。
YouTubeのスーザン・ウォシッキーCEOは「責任を果たすことほど重要なことはない。微妙なバランスを維持することに注力している。これにより、視聴者、クリエーター、広範なエコシステムを有害なコンテンツから保護しつつ、YouTubeで多様な声が生まれるのを支援していく」と述べている。
YouTubeは今後も、ポリシーやアルゴリズムの微調整がかなり細かいペースで続けられていく模様だ。
(Nagata Tombo)