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『同期のサクラ』高畑充希が灯し続けた火 ナイスショットでまるで最終回と思いきや……

2019年12月12日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『同期のサクラ』(c)日本テレビ

 高畑充希が主演を務めるドラマ『同期のサクラ』(日本テレビ系)が、12月11日に9話を迎えた。


参考:新田真剣佑、二世俳優から抜きん出た存在に 『同期のサクラ』で両立するスター性と職人気質な一面


 2019年の現代にサクラが眠り続けていた理由が、バイクに轢かれそうになる隣人夫婦の子供を身代わりとなって助けたためと分かった第8話。9カ月の眠りから目覚めたサクラは、花村建設から解雇通知を受けて、再就職先を探す。コンビニのバイトもクビになり、故郷に帰ろうとした時、励ましてくれたのは同期の菊夫(竜星涼)、百合(橋本愛)、蓮太郎(岡山天音)、葵(新田真剣佑)だった。再び就活を始めたサクラの前に現れたのは、花村建設の副社長となった黒川(椎名桔平)。いつもの飄々とした態度で「お前にいいニュースと悪いニュースがあるんだけど、どっちから聞く?」と提示し、いいニュースとして「花村建設へ戻って来い」とサクラを誘うのだ。


 最終回前、急転直下の展開となっている『同期のサクラ』。サクラが再び元気を取り戻し、自分らしく生きるまでには、同期4人の諦めることのない励ましがあった。文句ばっかり言ってきただけで、自分は何も成し遂げていないと話すサクラを、百合たちはあるところに連れていく。それは、保育園の建設現場。10年前の新人研修の時に、サクラが本当に社長賞を取るべきだと言った一言は、その社員の勇気となって心にあり続け、今、蕾となって花を咲かそうとしていた。


 「お前が灯した火は誰かの心で燃え続けてんだよ。今でも」。葵が投げかける。サクラの言葉の数々は、4人にとっての土台も作っていた。蓮太郎は「お前は俺たちの心に橋を架けてくれたじゃないか」と、菊夫も「その橋は何があっても絶対崩れないぞ」と続ける。


「私には夢があります。ふるさとの島に橋を架けることです」
「私には夢があります。一生信じ合える仲間をつくることです」
「私には夢があります。その仲間とたくさんの人を幸せにする建物を造ることです」


 サクラが言い続けてきた3つの夢。島に橋を架けることは叶わなくなってしまったが、一生信じ合える仲間をサクラは手に入れた。たくさんの人を幸せにする建物を造ることとともに、サクラは新たな夢を志す。


「私には夢があります。天国で見守ってくれてるじいちゃんに『今日もサクラは頑張ってるよ』って、毎日胸を張って報告することです」
「私には夢があります。ふるさとに架けたかった橋に負けないような橋を、これから出会う人たちの心に架けることです」


 「私はこれからも北野サクラであり続けます」という宣言に続く、「じゃあ、また明日」といつもの別れの挨拶。同期との集合写真、「いいです。非常にいい!」とサクラの名言が復活すると、一瞬「あれ、最終回?」というハッピーエンドのような高揚感がある。そこに訪れるのが、黒川からの花村建設への誘いだ。


 もちろん、花村建設に復帰することは、サクラにとっては願ったり叶ったりのことだ。次回、サクラは黒川のもとで新規プロジェクトのリーダーに任命される。力、つまり権力を持ったサクラ。これまで研修生、または平社員の身分で意見を言っていたサクラが、権力を持つとどうなるのか。同期からの連絡よりも仕事を優先し、徐々に変わっていくサクラに待ち受けていたのは、本当の孤独だった。2009年から10年間の歳月を描いてきた『同期のサクラ』。あらすじには、2020年4月、満開の桜の下に集まった同期たちが「まさか、最後にあんなことになるとは」とサクラの激動の人生を振り返る、とある。サクラは最後にどんな答えを、メッセージを我々に投げかけるのか。(渡辺彰浩)