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供託金なくしたら「N国」より「過激候補」出てきませんか? 違憲訴訟弁護団の回答は…

2019年12月11日 21:02  弁護士ドットコム

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選挙で一定の得票を得られなければ没収される「供託金制度」は違憲であるとして、埼玉県の自営業男性(50代)が国を訴えていた裁判は、東京高裁(近藤昌昭裁判長)で12月11日に判決があり、一審同様、男性の請求が退けられた。上告を予定している。


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男性は、憲法が保障する「立候補の自由」(憲法15条1項)などに反すると主張したが、「供託金制度は立候補の自由の制約にはなっているが、国会の裁量権の範囲内」などとした地裁判決がほぼ踏襲された。判決書はわずか3ページだった。



●「N国党より過激な候補者が出てきませんか?」

なぜ供託金があるのか。判決は制度の目的を、泡沫候補や売名候補が増え、候補者が濫立することを防ぐことにあるとしている。



ここで、「NHKから国民を守る党」の躍進を考えてみたい。たとえば、「カーセックス」などの言葉が飛び交った政見放送は批判を浴びた一方、知名度アップに大きく貢献した。さまざまな「選挙ハック」で先の参院選後、国政政党にのぼりつめている。



仮に供託金がなくなってしまえば、選挙区を厳選することなく、N国以上に過激さに走る候補が増えてしまうのではないか。判決後の会見で弁護団長の宇都宮健児弁護士に疑問をぶつけてみた。



宇都宮弁護士は「(候補者に問題があるかどうかは)供託金ではなく、有権者が選択すべき。それが民主主義ではないか」と答えた。



もっとも懸念しているのは、貧困と格差の拡大で、お金がない人は投票以外で政治に声を反映させられないということだという。



弁護団の調査によると、OECD加盟国のおよそ3分の2で供託金はなく、残る国でも数万から十数万円程度の国が多い。一方、「日本の供託金は世界一高い」といい、裁判を起こした男性は2014年の衆院選で、供託金300万円を用意できず立候補できなかった。



「日本は世襲の政治家が多く、家業のようになっている一方、供託金が参入障壁になっている。失業者でも学生でも意見を持っている人が立候補すべき。海外の事例を見ても、身近な人が出るから政治への関心も高まっているのではないか」