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『スカーレット』信作にも恋の予感? 喜美子と八郎の前に常治が立ちふさがる

2019年12月10日 12:12  リアルサウンド

リアルサウンド

『スカーレット』写真提供=NHK

 『スカーレット』第62回。喜美子(戸田恵梨香)の「帰りたくない。帰さんといて」という言葉を聞いた八郎(松下洸平)は、布団に突っ伏して「うえーん」と声を上げる。八郎としては喜美子を帰したくないが、だからと言って長居させるわけにもいかない。八郎が住んでいるのは会社の敷地内だし、喜美子の父・常治(北村一輝)には交際を反対されているのだ。間をつなぐように八郎は陶芸の話を続ける。「誰にも出せん、自分だけにしか出されないような『これや』いうのを見つけたいねん」という言葉に喜美子は目を輝かせる。


参考:『スカーレット』第63話では、八郎(松下洸平)が交際の挨拶で川原家へ


 喜美子に研究ノートを渡し「今日は帰り」と八郎。呆然とする喜美子に「そういうことや。帰ったほうがいい」と言ってから、「うえーん」とふたたび布団に突っ伏す。感情の処理が追い付かないのだろう。考えてみれば数時間ほどの間に運命が急転しており、普通でいられないのも当然だ。と同時に、ふだんは穏やかな八郎の中に眠るエモーショナルな一面も窺われた。


 八郎は「きちんと話しに行くさかい。日あらためて頭下げに行きます」と話すが、喜美子の返事は「それはうちがやるわ」。「うちがやるし、十代田さんはしばらく待っとき。うちのお父ちゃんはほんま一筋縄では行かへんねん」。川原家を背負ってきた喜美子には父のどうしようもなさが骨身に沁みていて、常治のことで八郎に迷惑をかけたくない。「うちが頭下げて許してもらう」と話す喜美子に「僕がおるで」と八郎。「一緒に頭下げよう。これからは一人じゃのうて、一緒にやっていこう」という迷いのない言葉に、喜美子は勇気づけられる。八郎と喜美子は「一緒になろな。結婚しような」と顔を見合わせて別れる。喜美子にとっては、初めて同じ目線で手を取り合って進む相手が八郎。その背中は頼もしく見える。


 翌朝、喜美子が常治に「十代田(八郎)さんと会うてください」と頼むと、「ええよ。そやけど結婚はあかんで」と一言。「なんであかんのやろ」とへこむ喜美子に、「100回でも200回でも会いに行くわ。許してもらえるまで、何回でも」と八郎は励ます。喜美子と八郎の噂は社内に広がり、照子(大島優子)も「ええのつかまえたのー」と祝福。他の社員の手前、早く所帯を持ってほしいと背中を押される。こうして八郎と常治の第一ラウンドが幕を開けた。


 信作(林遣都)が企画したお見合い大作戦は、冷やかし半分の参加者ばかりで失敗するも、信作はひとりの女性から猛アタックを受けていた。田畑よし子を演じる辻本みず希は、連続テレビ小説『カーネーション』、『純と愛』にも出演した朝ドラ女優。お調子者の信作との恋はどうなっていくのだろうか。喜美子と八郎の周囲もだんだんにぎやかになってきた。


■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。