舞台『DARKNESS HEELS~THE LIVE~SHINKA』が、12月5日より東京・CBGKシブゲキ!!にて開幕する。歴代のウルトラマンシリーズに登場するダークヒーローたちに焦点を当てたメディアミックスプロジェクト「DARKNESS HEELS」の一環として今年9月に上演された舞台『DARKNESS HEELS~THE LIVE~』の“深化版”だ。
初日を直前に控えた稽古場を訪れ、キャスト座談会を実施。ジャグラス ジャグラーとダークザギが降り立つ惑星O-50よりルーク・バセン役の白柏寿大、パルビナ・ルイ役の宮崎理奈、ロンメル役の近藤雄介、セシル・ソリア役の田中崇士、ボダイ役の香音有希に本作の魅力やシリーズにまつわる思い出などたっぷりと聞いた。
なお、ダークヒーローを務める、ウルトラマンベリアル役の石渡真修、ジャグラス ジャグラー役の上仁樹、イーヴィルティガ役の友常勇気、ダークザギ役の神里優希、カミーラ役の相楽伊織へのインタビューも先立って公開している。あわせてご覧いただきたい。
[取材・文・構成=潮田茗、撮影=小原聡太]
■5つのサイドストーリーで前作を深堀り
――まず、それぞれの役どころについて教えてください。
白柏:“闇”や“悪”をテーマに描かれ、強いキャラクターが集結するこの作品のなかで、嫉妬や憎しみの感情など、僕たちが思う“普通”を持つルークは作中では逆に特殊な存在。
観客のみなさんが感情移入をしやすい役だと思います。
宮崎:みんながO-50を守るなか、本当の正義を考えるのがパルビナ。惑星の状況に疑問を抱いて孤立しながらも、時に貧しい人を助けながら生きていきます。
O-50は原作ファンの方にもなじみのある惑星でもありますが、舞台ではそんな世界を説明する役どころでもありますね。
近藤:ロンメルは高い能力を持つ戦闘員。立場も上なので、唯一セシルに物申せる人物なのですが、何せワンマンタイプなので部下たちからは……。
宮崎:あんまり慕われてないよね?
近藤:うん。なんかね、振り回してる感ある。
香音:偉いんだよね? 指揮官だもんね。
近藤:そうです! 指揮をとる者です!
宮崎:香音さんが言ったこと繰り返しただけじゃん(笑)。
田中:本作から新キャストとしてセシルを演じています。9月の初演について観客として感じたことでもありますが、この作品は正義と悪が逆転をしている。
セシルやボダイは正義をうたっている存在ですが、疑問のない正義を押し付けている側が"悪"に見えてくるんです。
そこが倒されたときにスカッとするので、ある種(セシルたちは)ヒールになれる役なのかなと思っています。
香音:母のような存在であるボダイですが、自分自身を偉いとは思っておらず、世界の秩序を保つようにと、自分の正義を疑わずに守っている。
彼女やセシルにとって、ルークやパルビナはたくさんいる人たちのなかのほんの一部という位置づけなので、彼らへの接し方は決して悪気があるわけではなく、ただ眼中に入っていないだけなのかなと思っています。
――今年9月の公演から間髪入れずに新作公演があるとは、ファンにとっては嬉しいサプライズでした。
白柏:これほど短いスパンは、なかなかないですよね?
香音:確かに!
田中:ビックリしましたね。
近藤:セットも大きく変更していますし、だいぶ変化しています。
田中:新キャラクターが増えた分、アクションも追加されているので見応えも増したはずです。
香音:本作では5つのサイドストーリーが加わったことで、前作を見てくださった方にとってはバックグラウンドや物語の先が垣間見える楽しさがあると思います。
今回の脚本を読んで、前作について「おお!」と納得したことも多かったですし。
宮崎:しかもストーリーによって分岐点が違うんです。そういった意味でも変化が多いので、稽古中から毎日緊張してます。
白柏:ルークは初演にはなかった過去を語る場面があります。前作では想像しながら演じていた部分だったので、その答えを知ることができてうれしかったですね。
宮崎:本作の脚本を読んで、描かれている闇の大きさや種類はさまざまなんだと改めて感じました。ただO-50を破壊しにやってきたと思われていたダークザギの目的がはっきり描かれていますし。
→次のページ:絆を深める要因は、離れて過ごす日々!?
■絆を深める要因は、離れて過ごす日々!?
――先ほども自主的に集まって稽古されていましたが、ストーリーとは裏腹にキャスト陣は和やかな雰囲気ですね。
宮崎:実は、同じ惑星でもなかなか稽古で会えないことが多くて。
白柏:惑星ごとだったり、ストーリーごとだったりと稽古が細かく分かれているんです。特に初演のときは、ほとんど誰とも会わない状態もありました。
やっぱり、こうして会えるのは嬉しいですし。会えない時間に友情が深まった気がします。
みんな、嬉しかったよなぁ?
宮崎&近藤&田中:……。
香音:ほう……。
白柏:(不安気に)え……?
宮崎:「このなかでそういうこと一番言わなさそうなのに」ってみんな思ったんだよ(笑)。
白柏:なんだ、ホッとした(笑)。個人的には、結構前から面識があった崇士くんにこうして共演者として再会できてうれしかったな。
近藤:え、前から知り合いだったの?
白柏:今回もそうなんですけど、そのときからいじられキャラだったよね(笑)。
田中:はい(笑)。今回共演できると知ったときは、めちゃくちゃ嬉しかったし感慨深かったですね。
白柏:O-50を崇士くんが和ませてくれてる感じはあるかもしれないですね。
――劇中にはほかにも惑星が登場しますが、もし住めるならどこがいいですか?
近藤:もうすでに決まってます。
宮崎:これ、揃うんじゃない? せーので言ってみよう? せーの!
白柏&宮崎&香音:アバン!
近藤&田中:O-50。
宮崎:分かれちゃった(笑)。
白柏:「演じる役ならどう考えるか?」ではなく、単純に自分自身ならどうするかなって考えた。だってアバンはさ、ホワホワしてるもん。ファミリーあり、ラブストーリーあり。
香音:あと、散歩。
宮崎:散歩!
田中:そっか。「演じるならどうするか」で考えちゃってな。たしかにO-50は治安が悪いっすもんね。僕個人として考えるならやっぱりアバンかな(笑)。
近藤:……あ、そう。そうやって自分の惑星を裏切っていくんだ。僕個人として考えると、アバンよりもテリオですよ。
宮崎:そういえばテリオもラブストーリーありますもんね。
香音:えっ、あるの? あそこラブなの?
白柏:そこの解釈は自由です(笑)。
香音:O-50も、ルークとパルビナで付き合っちゃえば?
宮崎:(きっぱりと)ないです!
白柏:ボダイさんとロンメルは?
近藤&香音:う~ん、ちょっとないなぁ。
宮崎:やっぱり、人望のなさがネックだよね(笑)。
近藤:みんなちゃんとロンメルを慕ってくれ、ホントに……。
→次のページ:最大の悪事は「講義をサボり、カフェで読書」
■最大の悪事は「講義をサボり、カフェで読書」
――ダークヒーローにスポットが当たる作品ということで、みなさんがつい働いてしまった悪事をこっそり教えてください。
近藤:公演に向けて体を鍛えてる最中なのに、ラーメンライスを食べてやりました。炭水化物オン炭水化物。
白柏:え、そういう感じでいいの(笑)?
田中:僕、すごく反省してることがあるんです。大雨が降った日、どうしても宅配代行サービスの割引券を使ってあんかけ焼きそばが食べたくなってしまって。迷いに迷ったんですけど、全身びしょ濡れになった配達員さんに届けてもらってしまいました。
宮崎:なんか、(田中の)良い人さがにじみ出てない?
田中:せめてものお礼をと思って「仕事終わりに使ってください」ってビール券を渡そうとしたら、「お酒飲まないので」とお断りされてしまいました。
白柏:いい人感が出すぎてるから、最大限に“悪”な感じをにじみ出して記事にしてもらうね。
田中:そんな……(笑)。
宮崎:私は甥っ子ちゃんのタマゴボーロを食べちゃったことかな。お姉ちゃんたちとおでかけしたときに、どうにもできないくらいおなかが空いてしまって。
我慢できなくて全部食べちゃったら、甥っ子ちゃんを泣かせてしまいました。
香音:なかなかの悪いエピソードが来たね(笑)。
宮崎:本当に申し訳なかったので、代わりにバナナを買ってあげました。
白柏:なんでタマゴボーロじゃないんだよ!
香音:私はね、今日オフだったので正午に起きたんです。ごはんに中華スープを作って食べて……もう一度、寝てました(ニヤリ)。
宮崎:言い方が悪(笑)。しかもヘルシーそうですし、そこまで罪悪感もないという。
白柏:僕は大学時代、尾崎豊さんにどハマりしてよく通学中に曲を聞いていたんですけど。
香音:まさか!
宮崎:バイク、盗んだ?
近藤:校舎の窓ガラス、壊した?
白柏:違う、違う(笑)。そういうワルな歌詞に浸りつつ、「なんで俺はまじめに大学なんか通っちまってるんだ!」って思った瞬間があって。
来た道を引き返して講義をサボって、某コーヒーショップで読書してやりましたよ!
4人:(笑)。
宮崎:なんでカフェ? なんで読書?
香音:なーんか、感じ悪いよね(笑)。
宮崎:“悪”じゃなくて、ただの感じ悪いエピソードじゃん。
――(笑)。本作がウルトラマンシリーズということで、ウルトラマンにまつわる思い出はありますか?
白柏:僕はティガ世代。ティガのなりきりパジャマを着て保育園に行って、好きな子に話しかけられるのをず~っと待ってた。
宮崎:なんか、闇を感じる(笑)。
田中:僕はゼットンに敗れたシーンに絶望して、しばらく見られなくなりました。ウルトラマンが負けるなんて考えられなかったからあまりにもショック過ぎて。
近藤:僕はダイナ世代ですかね。ウルトラマンごっこでも主役の座は絶対譲りませんでした。
香音:毎回、どうやって勝ち取ったの?
近藤:……武力で。
宮崎:本当にロンメルがハマり役なんだね?(笑)
私はね、習い事の先生の息子さんがティガ大好きっ子だったので、光線を浴びる役をよくやってました。彼にウルトラマンになりきってほしかったので。
香音:私は初演の顔合わせのあとみんなで行ったウルトラマンフェスティバルが楽しかったな。すごくワクワクしましたし、ちびっ子たちが「頑張れ!」って必死に応援している姿にグッときました。
――最後に、本公演に向けて意気込みや見どころをお願いします。
田中: 主演の5人をいかに引き立てられるかがO-50としての役目。日々、必死に考えながら稽古に臨んでいますので、本番をぜひ楽しみにしていてください。
近藤:僕らがいかに輝くかで、ダークヒーローが持つ闇のコントラストが濃くなっていくと思います。思い切り、輝いていきます!
香音:新たにキャラクターも増え、初演とはまた違った感想を持てる物語になっているはず。私も自分の役をもっともっと深めていきたいです。
稽古場で息を合わせていきながら、本番に向けて“SHINKA”を楽しんでいただけるよう頑張ります。
宮崎:本作は新しい反面、どこか懐かしい気持ちになれるような作品。ちびっ子も、大きいお友達も「こういう時代もあったな」と勇気をもらってほしい。
ウルトラマンシリーズは元気をもらえる作品なので、舞台版でも届けられるよう全力で挑みます!
白柏:ここまで読んでくださってありがとうございました! 初演から短い期間での新作公演のため、お客様の記憶が新しいうちにまた観ていただける機会をうれしく思っています。
前作のいいところは引っ張りつつ、半分以上は新しさも取り入れ、レベルアップして挑みますのでぜひ劇場へお越しください。