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【ガンダム】ジオン残党多すぎ問題 「結束して一斉蜂起すればいいのに」という声もあるが……

2019年12月08日 09:10  キャリコネニュース

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ガンダムは息の長いコンテンツだ。いまだにガンプラやゲーム、それから新作アニメに外伝漫画なんかもリリースされている。

続編や派生作品に該当するアニメや漫画では、ジオン軍の残党が当たり前に登場する。たとえば一番有名なのが『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のデラーズ・フリートだ。

かつてギレンの親衛隊であったエギーユ・デラーズが興したジオン残党軍で、一年戦争で終戦協定を結んだ地球連邦とジオン共和国に対して反旗を翻す。彼は熱烈なギレン信奉者であり、一年戦争中もギレンの指揮下で動いていたが、彼が暗殺されるや情勢を見て速やかに離脱。再起を図っていたという設定だ。

今回は、このデラーズのようなジオン残党たちにスポットを当ててみたい。(文:松本ミゾレ)

アクシズ、新生ネオ・ジオン、火星独立ジオン軍 いくら何でも多すぎでは?


『0083』で描かれる残党軍の決起は結構目を引くが、実際にアニメで明確な残党組織が登場するのは、『機動戦士Zガンダム』からだ。そもそもティターンズが設立された際の大義名分が、ジオン残党軍の掃討だったし。劇中後半にはそのジオン残党の一大組織が小惑星アクシズごと地球圏に殴り込みをかける。率いるのはハマーン・カーンだ。

今考えると、純粋な組織規模での残党最大勢力は、このアクシズだったように思える。『Z』に次いで放送された『機動戦士ガンダムZZ』にも、引き続きアクシズは登場する。しかし面白いのはアクシズとは直接的に関与せず、一年戦争終結後からひたすら地球に潜伏していたジオン地上進行部隊の残党も度々登場する点だ。

アフリカ戦線を生き延び、そのままゲリラ的な活動を続けていたデザート・ロンメルがその代表例。他にも割と手練れ揃いの"青の部隊"など、旧ジオン残党軍が独自に地球連邦に抵抗を続けていた描写もある。

近年だと『機動戦士ガンダムUC』でも、ジオン残党の活躍が目立った。劇中で連邦のトリントン基地を襲撃した一派の中に、MSVのゾゴックまで混じっていたのは、ちょっと露骨なファンサービスな気がする(正史アニメで登場したのはこれが初か?)。

他にも『機動戦士ガンダムF90』の火星独立ジオン軍なども、いわゆるジオン残党に数えていいだろうし、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の新生ネオ・ジオンもその亜種だ。とにかく、宇宙世紀の世界においては、かなり後期に至るまでジオンの残影はゆらめき続けているということになる。そしてその影の数は、間違いなくこれからも増え続ける。花京院の魂を賭けてもいい。断言する。

結束できないので各個撃破の憂き目、それがジオン残党

と、ここまで一部のジオン残党軍を挙げてみた。実際にはまだまだたくさんいる。もう笑えるほど残党だらけなのが宇宙世紀の世界なのだ。そして大抵の場合、個々の集団はさほど地球連邦にとっては脅威ではない。あくまでも限られた物資を温存し、ゲリラ的に活動するに留まっているからだ。

だからガンダムオタクの中にはきっと「この数多ある残党勢力が一斉に蜂起するか、手を結んだらワンチャン連邦も倒せるんじゃないの?」と考えた方もいるかもしれない。僕もそう思う。

だけどまあ、それはいかんせん旧ジオン内の派閥色が濃く残っている点で難しいようだ。ギレン派、キシリア派、ドズル派はそれぞれ、一年戦争終結後も独自に残党を結成しているが、それぞれが交わることってそうそう簡単じゃないことだろう。

それは『機動戦士ガンダム』本編を観たことがあるオタクならいちいち説明なんか受けなくても理解できるはず。当事者たちはもういないのに、残った支持者は延々別の派閥を警戒し続ける。なんて悲しいことなのか。

もちろん、残党同士が決して手を組まないというわけではない。『0083』ではGP02を奪取したガトー一派がキンバライトに潜伏する残党軍と合流し、この残党軍は何とガトーを宇宙に逃がすために、HLVを死守。目的を達成したら降伏したものの、まさに捨て石のような役割を果たしている。

同じことは『逆襲のシャア』本編での新生ネオ・ジオンにも見られる。ザビ家を糾弾したシャアの存在もあって熱烈なザビ家信奉者らの協力は得られていないようだったが、設定によると元カノであるハマーン派の取り込みには成功しているとある。

さらにはクワトロ時代の恩顧もあってか、エゥーゴの中でも比較的タカ派の"エグム"という派閥を取り込むことには成功している。エゥーゴにはシャア自身に加えて複数の旧ジオン関係者らも参画していた実態があるので、これも形を変えた、残党軍の併合と言えるだろう。

でも、やっぱり残党軍の大半は、無茶なゲリラ戦に打って出て各個撃破されている。『UC』でもそのあたりの無意味さや虚しさが描かれていたが、大体はああいうオチになる。みんなで一斉蜂起をするほどの連帯はなく、その士気もなかったということだろう。

悲しいかな。いわゆる、滅びの美学みたいなものが、ジオン残党軍にはアイコンとしてあてがわれがちだ。そしてさらに悲しいことに、ジオン残党軍には全滅の憂き目が、まぁ似合うのだ。

元々国力で言えば連邦には勝てるはずもないジオン。そのジオン残党の孤立した上での奮戦は、蟻が象に手向かうようなもの。かつて地球連邦軍高官のレビル将軍が言った「ジオンに兵なし」というセリフ。あれはある意味正しかったのかもしれない。

ただ、レビル将軍も、まさかその少ない兵士たちが無駄に練度を高めているため、ろくすっぽ戦死もせずに何年も潜伏し続けることになるとは、思っていなかったのかもしれない。地球連邦にしてみれば、ゲリラと化したジオンの怨霊の相手をするのも、それはそれでかなりのストレスを課せられていることだろう。

ジオン残党軍は、決して大規模な結束はしない。しないが、だからこそ雨後の筍のように湧いてきては、永遠に連邦を呪い続けるのだ。これからも。