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「クンチキタ」「やんちゃBOY やんちゃGIRL」…日本版“プデュ”オリジナル曲は練習生の個性をアピールできるラインナップに

2019年12月05日 12:42  リアルサウンド

リアルサウンド

PRODUCE 101 JAPAN『35 Boys 5 Concepts』

 最終回まで1週間を切り、投票も白熱する『PRODUCE 101 JAPAN』。“プデュ”シリーズ恒例のオリジナル曲のパフォーマンスで競い合うコンセプトバトルの様子が第9、10回にて配信された。オリジナル曲の解禁は番組のテーマ曲である「ツカメ~It’s Coming~」以来である。同楽曲は練習生全員で披露するなど圧巻のパフォーマンスでありながらもフレッシュさを兼ね備え、番組のシンボルとなっているのに対し、発表された5曲はコンセプトバトルに挑む35人の練習生の溢れる個性をアピールできる最高のラインナップとなった。そこで今回はその5曲のサウンドや歌詞に着目して分析する。


(関連:『PRODUCE 101 JAPAN』、コンセプトバトル1位は「クンチキタ」 白熱のバトル繰り広げた収録現場をレポ


■「クンチキタ」
 ダンス/ヒップホップジャンルである「クンチキタ」は力強さが溢れる一曲だ。「クンチキタ」とは韓国語で根気強いといった意味であり、低音の響くビートが攻めたその世界観を創り上げる。歌詞も〈弾丸のように 食い込め上位へ〉というように、サバイバル番組の緊張の中心にいる練習生の威勢を表現し、説得力のある曲となっている。一人ひとりのパートでそうした雰囲気を高めていく中、サビで感じさせる”動じなさ”は練習生自身の確固たる信念や覚悟も後押ししているだろう。曲のラストではさらに音の厚みが増し、迫力たっぷりとなっている。


■「DOMINO」
 「DOMINO」は始まったら止められなくなりそうな恋心をクールに歌い上げる。ストレートな歌詞や緩急のある曲展開が表現する“跳ね上がる心、燃え上がる情熱”に、ドキッとしてしまうポイントが多く登場する。〈just like DOMINO〉というキリングパートだけでなく、“ドミノ”というテーマが忠実に再現されているような一音ずつ下がったり、上がったりするパートも楽曲の魅力を底上げしている。恋に落ちる一瞬を切り取った楽曲は、練習生の新たな魅力を伝える役割も果たしている。


■「Happy Merry Christmas」
 「Happy Merry Christmas」はこの季節にぴったりの最高にハッピーな一曲だ。ストリングスやジングルベルが演出するのは誰もが心踊るクリスマスだけではなく、曲の中の“ボク”や恋人である“キミ”の幸せまでもだ。高鳴るトキメキや舞い落ちる雪も表現された起承転結のある展開で、とても聴き心地が良い。サウンドの幸福感は全員で歌唱するサビが特に支えており、〈誰よりも 何よりも 大好きなんだ〉という歌詞で重なるボーカルで最高潮になるだろう。クリスマスはこの曲と共に過ごしたくなるほど、無限に幸せを与えてくれる楽曲だ。


■「Black Out」
 振られた恋人への未練を歌い、焦燥感のある「Black Out」。失恋をしてただ辛いだけではない感情の複雑さ、やるせない悔しさも激しい展開に反映されている。スピード感を増すサビでは、「本当に終わってしまうの?」と問いながらも、だんだんと“Black”に染められていく心を表現している。短調のメロディが全体的に印象深く、嘆き悲しむパフォーマンスは皮肉にも美しい。限りなくダークな世界観を作り上げただけでなく、弱る男性のセクシーさも存分に演出されている。


■「やんちゃBOY やんちゃGIRL」
 「やんちゃBOY やんちゃGIRL」は、少年らしい真っ直ぐさを彷彿とさせるキュートな楽曲。一途に好きという気持ちを伝える懸命さや、まるでお伽話の中にいるような雰囲気にとても癒される。イントロのシンセサイザーの音は昨今のK-POPのような近未来的なサウンドとは異なるレトロな世界観を演出し、素直な心を表現するかのようなポップな音も絶え間なく聴こえてくる。「やんちゃBOY」に終始元気にアピールされ、最終的にはこちらも「やんちゃGIRL」になってしまうこと間違いなしだ。


 今回のコンセプトバトルは結果的に「クンチキタ」が一位を獲得したが、どの楽曲も完成度は素晴らしく、特に「Happy Merry Christmas」と「やんちゃBOY やんちゃGIRL」のようなジャパニーズアイドルの王道という印象が強い楽曲はこれまでの“プデュ”シリーズにはない、『PRODUCE 101 JAPAN』ならでは。また、今回のオリジナル曲を通して練習生の考えるカッコよさやキュートさが明確に表現され、将来のグローバルアイドルとしての姿を垣間見ることができた。これまで“プデュ”シリーズから誕生したグループがコンセプトバトルのオリジナル曲をカバーした機会は多くある。いつかこれらの楽曲が再度披露される日も来るかもしれない。(momotoxic)