ヤフー知恵袋に11月下旬、「旦那の妹が小梨です 老後どうするんでしょうか?」というタイトルで相談がありました。"小梨"とは子どもがいないという意味で、相談者の女性は、既婚者だが子どもがいない夫の妹の老後が心配で仕方ない様子です。相談者は、
「旦那さんに頼るっていっても(略)旦那さんが先に亡くなる可能性があります」
「うちの子に頼る?それとも旦那さんの姉の子供に頼る?どっちの可能性が高いです?」
「認知症になったらどうするんですか?亡くなったあとも行政に頼れるんでしょうか?」
などと畳み掛けるように問いかけました。(文:篠原みつき)
「実の親でも面倒見ずに生活保護受けさせてる実子も多い」
ネット上では「小梨」と書く人がいますが、あまり良い表現ではありません。相談者の問いかけには「うちの子に迷惑かけないで」という気持ちがありありと出ており、残念ながら良好な関係ではなさそうです。
こうした心配をしている人は少なくないのでしょう。この相談は注目を集め、閲覧数は7万近くに上りました。ベストアンサーは
「実の親でも面倒見ずに生活保護受けさせてる実子も多いのだから、無視でいいと思います。小梨などあまりよくない呼び方をしてるくらいですから仲良しでなさそうですし」
という回答です。他の回答者からも、「そもそも、貴方の子供に叔父叔母の扶養義務はありません」という声が上がっていました。
ちなみに法律的には特別な事情が無い限り甥や姪に扶養義務はないとされています。民法877条1項によれば、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」ため、面倒をみる義務があるのはまず彼女の両親と相談者の夫でしょう。
一方、子どものいない人からは「老後に姪っ子に頼ることなんて考えもしないし、可能性もないですよ」という反論がありました。子どもがいても「我が子に頼るつもりはない」という人は多く、
「子どものいない人も、甥っ子や姪っ子に頼れると思っている人なんて、いないと思いますよ?」
「相談者さんは子供を頼ること前提なんですね」
など、相談を否定的に一蹴する人が相次ぎました。2000年から始まった介護保険制度も、「家族だけで面倒見るのはもう無理」という背景があって始まったのです。子どもがいようがいまいが「老後は子どもに頼る」という考えの人は少ないのではないでしょうか。
むしろ子どものいない人の方が"終活"が早いうちからしっかりできているのかも
『負け犬の遠吠え』で有名なエッセイストの酒井順子さんは、エッセイ『子の無い人生』(角川書店)の中で、少子化で「いとこ」のいない子も多い現在、「『子ナシ族のおじ・おば』の世話を負担に思う甥・姪が大量に出現することになります」と指摘しています。
酒井さんには兄の娘であるたった1人の姪がいて、できる限り世話にならないように「必要なのはお金」としています。自分で施設に入るなどの覚悟はしているものの、葬式や死後の手続きなど、どうしても最期だけは世話になることにも触れています。確かに親族である以上、情があれば完全に見捨てるわけにもいかないでしょう。
しかし、相談者の義妹の立場で考えてみると、こういう心配をしている義姉の家族に自ら頼るでしょうか。子どもがいてもいなくても、人間死の前後は誰かに面倒をかけるものです。であれば、むしろ子どものいない人の方が、「なるべく自分で自分の面倒はみる」という覚悟や準備が、早いうちからしっかりできているのかもしれません。