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『G線上のあなたと私』中川大志が波瑠に告白? ついに3人が揃った「G線上のアリア」

2019年12月04日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『G線上のあなたと私』(c)TBS

 「私、救われてしまいました。あの3人のバイオリンに」


 人生の主軸に置いていたバイオリンを病によって奪われ、絶望の海に放り出されてしまった眞於(桜井ユキ)。その彼女を救ったのは、恋でもなく、仕事でもなく、バイオリンの音色だった。


 火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)第8話。「親愛なる人々へ」というサブタイトル通り、也映子(波瑠)、幸恵(松下由樹)、理人(中川大志)の家族や友人たちを招き、念願の“3コン(3人のコンサート)“が開かれた。


参考:『G線上のあなたと私』主婦役が好評 松下由樹「“演じる”というより“幸恵さんに会いたい”って思ってもらえたら」


 「父です」「母です」「兄です」「いとこです」「友人です」……「いつもお世話になってます」と、大好きな人々が一堂に会する。入学式や卒業式、といった人生の節目が多かった子どものころに比べて、大人になるとこんなふうに自分のために笑顔で人が集まる場は意外と少ないことに気づく。もはや結婚式くらいだろうか。その結婚式を終えれば、いよいよきっかけが見つからない。


 だからこそ、幸恵にとっては一層感慨深いものがあったのだろう。バイオリン教室を通じて、自分の人生を取り戻すことができたこと。そんな自分の晴れ舞台を、也映子と理人が諦めずに作ってくれたことを噛み締める。


 「年齢も、立場も、違う3人です。バイオリン教室がなければ、出会うことのなかった3人です。それが、笑ったり泣いたり、ときどきモメたりしながら、弾けない人よりはほんのちょっとだけ弾ける、バイオリン好きの大人になることができました。私も、この歳になって、よもやこんなに若くて、楽しい、仲間が……できるなんて……思ってもみませんでした。ありがとね、也映子ちゃん、理人くん」


 晴れ舞台とは、自分の成長を見てもらいつつ、改めて大切な人に「ありがとう」が伝えられる場なのではないだろうか。職場でも、家庭でもない。うまくなったところで何の役にも立たないし、別にどうしても続けなきゃいけないものでもない。まずいちばん最初に生活から消えるものだと思っていた大人の習いごとのはずだった。だが、そんな「無駄」とも言える大人の習いごとこそ、人生の根幹を見直すきっかけをくれるものだった。


 何を大事に生きるのか。誰と一緒にいたいのか。何に目をつぶり、何をなかったことにはできないのか。“生活“だけでは、それを見つめる時間をあえてとるのは難しい。だが、3人は週1回のバイオリン教室を通じて、半強制的にそうした時間を作ることができた。そして、“3コン“では、そのきっかけとなってくれた眞於への「ありがとう」も、也映子は口に出さずにはいられなかった。


 届かないと思っていたその也映子の言葉は、理人の粋な計らいでチューナーごしに伝えられる。3人の奏でる「G線上のアリア」と共に。私たちは人生に絶望すると、それに費やした時間や、お金や、労力を「無駄だった」と思ってしまう。しかし、この“3コン“のように、きっと始めたころには思ってもみなかった形で、実を結ぶこともある。


 眞於のバイオリンも、也映子や幸恵、そして理人の人生を救った。それは彼女がバイオリンを通じて叶えたかった夢とは違う形かもしれない。だが、自分の音楽で「救われた」「ありがとう」と言ってもらえることの喜び。それが眞於にとって一番の救いだったに違いない。


 激しく求め合う恋人でもなく、家族よりは少しだけ客観視できて、友人の1人というには特別な存在。そんな存在の人に“親愛“という言葉をつけたくなる。也映子にとって、理人も、幸恵も、眞於も、そんな“親愛なる人々“なのだ。


 ところが、次週いよいよ理人が、也映子に告白を決意する。ようやくたどり着いた、この居心地のいい親愛なる場所でフワフワしていたかった也映子は、その気配を察知して急にソワソワ。そんな2人を見守る幸恵はハラハラ。果たして、親愛からさらなる愛は育まれるのか。「あー、ニヤニヤしてきちゃう。顔の筋肉がコントロール不能!」な気分で見守りたい。


(文=佐藤結衣)