2019年12月01日 09:11 弁護士ドットコム
「家賃を2カ月滞納してしまいました」。そんな悲痛な相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。相談者は「仕事をクビ」になってしまい、滞納せざるを得なくなりました。しかし、来月には給与が入るため、支払いができるようになります。
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そこで、「どうしたらいいのでしょうか。保証会社から電話があり、すぐにでも払ってほしいと連絡がありました」と質問しています。
家賃を滞納した場合、滞納が始まってからどのような手続きにより、どのくらいの期間で強制退去となるのでしょうか。また、家賃や借金返済を滞納した場合には「ちょっとでも支払うとよい」というアドバイスを見ることがあるが、これには法的な根拠はあるのでしょうか。高砂健太郎弁護士に聞きました。
「債務不履行解除が有効(=退去しなければならない)か否かは、(1)不払いの程度、(2)経緯、(3)過去の賃料支払状況、(4)催告の有無、(5)催告後の対応、等を総合的に判断します。そして、家主と入居者との間の信頼関係が破壊されているか否かによって決まります」
一般的には、どの程度で解約が有効となるケースが多いのか。
「一般的には、3カ月分以上の滞納で解除が有効になるケースが多いように思います。
ただ裁判例では、過去の滞納、特約等状況次第では約1カ月強の滞納であっても解除を認められたこともあります(東京地方裁判所平成15年12月5日判決/平成15年(レ)第378号)。
ご質問のように『ちょっとだけ払えば大丈夫』と考えるのは大変危険です」
相談者は2カ月の滞納だという。滞納の常習犯だと厳しいのだろうか。
「過去何度も同様の滞納を繰り返している等の事情があれば、2カ月の滞納でも債務不履行解除が有効になる(=退去しなければならない)可能性が高いです」
もし放置するとどうなるのか。
「放置すれば裁判になります。それでもなお放置すると、強制執行されてしまう恐れがありますので、やはり滞納を早期に解消してください。
ちなみに、裁判提起から判決までの期間は、状況にもよりますが、早ければ約1カ月半程度、判決が下りて、強制執行申立てから断行(=強制執行)までの期間は約1カ月です。
また、保証会社が家主に賃料を支払っていても債務不履行(=約束違反)状態には何ら変わりありません。この点もご注意ください」
【取材協力弁護士】
高砂 健太郎(たかさご・けんたろう)弁護士
不動産仲介会社勤務を経て、旧司法試験合格。勤務弁護士を経験後、平成22年中崎町法律事務所を開設。不動産、企業、相続部門を重点的に扱い、物件オーナーや不動産管理会社等と多くの顧問契約を締結している。
事務所名:中崎町法律事務所
事務所URL:http://www.nakazakicho-law.jp/