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MITが植物の種をシルクコーティングする技術! 菌をカプセル化し栄養生成

2019年11月30日 09:01  Techable

Techable

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[caption id="attachment_112765" align="alignright" width="300"] Image: MIT,Courtesy of the researchers[/caption]MITの研究チームが蚕の繭のように、シルクで植物の種をコーティングし、栄養素を供給する技術を開発した。これにより、植物が育つのに適さない土壌でも農業が行える可能性がある。

このシルクコーティングは、特殊な機器を必要とせず安価に施すことができるのも画期的な点だ。つまり、大規模農業での活用だけでなく、農業経験の浅い農家の技術補助用途なんかにも活用できる。
・シルクと窒素固定菌をミックス[caption id="attachment_112766" align="alignright" width="300"] Image: MIT,Courtesy of the researchers[/caption]

もともと研究チームは、植物の種を長く保存する目的でシルクコーティング技術を開発した。植物の生長を促す今回の技術は、その延長線上で開発され、空気中の窒素を植物の取り込める形に変換する窒素固定菌も一役買っている。

窒素固定菌は保存がとてもむつかしかったが、シルクとトレハロース(天然糖質)を利用することでこれを可能にした。菌が継続的に窒素肥料を生成して植物の生成を助けるとともに、人工肥料で土地がダメージを受けるのも防ぐという。

テストはマメ科の植物で行われ、シルク、窒素固定菌、特殊な栄養素入りトレハロースを水にミックスした溶液に種を数秒間浸してコーティング。塩分が多すぎて植物を育てるのに適していない土壌でも発芽が確認された。
・干ばつ耐性を高めるコーティング技術も開発中使用されたシルクはごく一般的なもので、水溶性なので土壌で溶けて細菌が放出される。シルクが溶けた後もコーティングによる保護が働き、発芽に十分な栄養素を提供する。コーティングは溶液に浸ける以外にも、スプレーして施す方法もあるが、いずれも素早く簡単に行えて、特別な環境づくりも必要ない。

テスト済みのマメ科の植物だけでも農業にとって大きな利益をもたらしそうだが、それ以外の種類の植物やそれに応じた窒素固定菌でもテストしていく予定だという。

また研究チームは、干ばつへの耐性を高めるためのコーティング技術開発にも取り組んでいて、温暖化による農業被害が叫ばれるなか頼もしいかぎりだ。

参照元:Coated seeds may enable agriculture on marginal lands/ MIT News