2019年11月27日 17:32 弁護士ドットコム
インターネット上の海賊版対策として、ダウンロード規制やリーチサイト対策について考える文化庁の検討会(座長:土肥一史・一橋大学名誉教授)の第1回会合が11月27日、東京都内で開かれた。研究者や弁護士、漫画家など、有識者12人が議論をおこなった。
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ダウンロード規制やリーチサイト対策を盛り込んだ著作権法改正案はことし3月、漫画家や研究者などから反対にあって、通常国会への提出が見送られていた。文化庁は、これまでの経緯を重く受け止めて、当初の案にこだわらず、議論を丁寧にすすめていくとしている。
この日は、パブリックコメントの結果を踏まえて、(1)著作権侵害の画像が一部に入り込んだスクリーンショット(スクショ)は適法とする、(2)数十ページで構成される漫画の1コマなど、一部分だけの軽微なダウンロードを適法にする――など、懸念の強かった部分を変更する案が示された。
文化庁は、来年1月中旬ごろまでに報告書をとりまとめたい考えだ。
文化庁は、9月30日から10月30日にかけて、パブリックコメントを実施した。その結果は、次のようなものだった(合計4437件、個人:4386件、団体51件)。
■個人から提出された意見
1.侵害コンテンツのダウンロード違法化についての意見
・基本的な考え方について(計4386件)
(1)賛成、どちらかといえば賛成と思われる意見:151件
(2)反対、どちらかといえば反対と思われる意見:3792件
(3)要件次第であるという意見:184件
(4)わからないという意見:52件
(5)無回答:207件
・文化庁当初案について(計1013件)
(1)文化庁当初案のままで良い:10件
(2)違法となる範囲が広い(文化庁当初案よりも違法化の対象を絞り込むべき):285件
(3)違法となる範囲が狭い(文化庁当初案よりも違法化の対象を広げるべき):9件
(4)具体的な要件の適否はわからないが、バランスのとれた内容とすべき:31件
(5)要件にかかわらず、侵害コンテンツのダウンロード違法化自体を行うべきではない:578件
(6)無回答:100件
2.リーチサイト対策について(計452件)
(1)賛成、どちらかといえば賛成と思われる意見:82件
(2)反対、どちらかといえば反対と思われる意見:154件
(3)要件次第であるという意見:216件
■団体から提出された意見
1.侵害コンテンツのダウンロード違法化についての意見
・基本的な考え方について(計48件)
(1)賛成:28件
(2)どちらかというと賛成:1件
(3)どちらかというと反対:0件
(4)反対:8件
(5)わからない:2件
(6)無回答:9件
・文化庁当初案について(計48件)
(1)文化庁当初案のままで良い:16件
(2)違法となる対象が広い(文化庁当初案よりも違法化の対象を絞り込むべき):15件
(3)違法となる対象が狭い(文化庁当初案よりも違法化の対象を広げるべき):1件
(4)具体的な要件の適否はわからないが、バランスのとれた内容とすべき:4件
(5)要件にかかわらず、侵害コンテンツのダウンロード違法化自体を行うべきではない:8件
(6)その他:4件
2.リーチサイト対策についての意見(計38件)
(1)賛成、どちらかといえば賛成と思われる意見:21件
(2)反対、どちらかといえば反対と思われる意見:2件
(3)要件次第であるという意見:14件
(4)その他(広告規制をすべきという意見):1件
赤松健:公益社団法人日本漫画家協会常務理事
大渕哲也:東京大学大学院法学政治学研究科教授
荻野幸太郎:特定非営利活動法人うぐいすリボン理事
河野康子:一般社団法人日本消費者協会理事、NPO法人消費者スマイル基金事務局長
後藤健郎:一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構代表理事
田村善之 東京大学大学院法学政治学研究科教授
土肥一史:一橋大学名誉教授、弁護士
萩原恒昭:日本経済団体連合会知的財産委員会企画部会会長代行
福井健策:骨董通り法律事務所 弁護士
堀内丸恵:出版広報センター副センター長、株式会社集英社社長
前田哲男:染井・前田・中川法律事務所 弁護士
和田俊憲:慶應義塾大学大学院法務研究科教授