矢野経済研究所は11月25日、「オタク」に関する市場調査結果を発表した。調査は今年7~9月に面接や電話、ネット上などで実施し、オタクに関わるコンテンツ、物販、サービス事業者らから回答を得た。
「同人誌」「フィギュア」「プラモデル」といった主要13分野の中で、最大の市場規模を持つのが「アニメ」だ。2018年度の市場規模は、製作事業者の売上高ベースで2900億円(前年度比8.2%増)と推計された。
アニメ市場、2019年度は大台の3000億円超と予測
同社は、アニメ市場の展望について
「堅調な映像制作部門に加え、(動画配信サービス)Netflixのオリジナルアニメ配信の本格進出や国内外における映像配信事業が好調に推移し、拡大傾向にある」
と分析。2019年度(予測値)については3100億円と算出しており、前年度比6.9%増は13分野の中で最大の上昇幅だった。
また、2019年度4~6月に公開された劇場版アニメ作品について、同社がネット上の検索数や口コミ数などから反響の大小を測定した結果、「積極的支持」(魅力度・温度ともに高い)となったのが「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム」「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」の2作品だった。
どちらの作品もメディアに露出するごとに大きな反響を呼び、かつ作品ファンの間で情報のシェアが積極的に行われていた。前者は、ユーザーの反響を指数化した「魅力度」で12作品中トップ。後者は、ユーザーの発信する情報の拡散状況を指数化した「温度」で同じくトップだった
アイドルの成長率は据え置き、理由は?
次いで、市場規模が大きい「アイドル」も好調に推移。2018年度は、ユーザー消費金額ベースで2400億円(同11.6%増)と推計された。2019年度(予測値)でも、2550億円(同6.3%増)とさらなる拡大傾向にある。
同社は、こうした好調の理由について「『ジャニーズ』『AKB48』グループを中心に引き続き中核となるファン層が市場を支えるとともに、他のアイドルグループの台頭も継続しており拡大傾向にある」と考察したが、
「2019年はジャニーズ事務所とAKB48グループの活動低下に影響する出来事が起きており、急速にメディアや大衆、ファン層の支持を失うことは考えにくいものの、成長率は鈍化するとみる」
として成長率を据え置いたようだ。
一方、市場規模3位の「同人誌」は、2019年度(予測値)が前年度から横ばいの820億円(小売金額ベース)。4位の「コスプレ衣装」(国内出荷金額ベースで350億円、同1.4%減)、5位の「フィギュア」(国内出荷金額ベースで305億円、同1.6%減)については、いずれもマイナス傾向が続くと予測した。