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ももすももす、キャッチーかつ深読み可能な楽曲の魅力 『バズリズム02』出演を機に紐解く

2019年11月25日 19:32  リアルサウンド

リアルサウンド

ももすももす

 バカリズムが司会を務める音楽番組『バズリズム02』(日本テレビ系)にトークゲストとして超特急が出演。スタジオライブではCreepy Nuts、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE、ももすももすがパフォーマンスを行った。本稿では、出演者の中から11月6日にシングル『アネクドット』をリリースした、ももすももすに注目。『バズリズム02』の11月度エンディングテーマとなっている表題曲を中心に、魅力を紐解いていく。


(参考:さくらももこが斉藤和義に託した想いーー『ちびまる子ちゃん』主題歌「いつもの風景」から読み解く


 学生時代よりバンド活動を行い、2018年にはソロ活動を開始、2019年2月にリリースされたシングル『木馬』でメジャーデビューを果たした彼女について、音楽コンシェルジュのふくりゅう氏はこう語る。「ももすももすは、詩人のランボーやジャン・コクトーをルーツのひとつとする独自の言語センスで詞曲を手がけるシンガーソングライターです。メタファーの活用など表現力豊かな文学的な歌詞が魅力ですね。いい意味で舌足らずなハイトーンボイスも耳に残ります。ライブでは、そんなフロウ(歌いまわし)が絵筆のようなフックとなり、個性として活きるチャームポイントになっています。曲作りを以前“絵を描くようなもの”と語っていたのも印象的です」


 ふくりゅう氏が指摘するように「アネクドット」では〈砂の墓場で咲き誇っていた/言葉の花は綿毛になり/君の元に届く頃には/僕の気持ちは変わっていた〉など、切なくも美しい歌詞に心を打たれる。そんな彼女の言語感は、自身の公式ホームページ(白亜紀ver)「恐竜の背中」でも発揮。本人が発信する「徒然水」「いつか忘れる思い出たち」「ファンシー・ア・ラ・カルト」など、独特な世界観を繰り広げるオリジナルコンテンツを読み進めていく度に、彼女の頭の中がどのようになっているか気になってしまうリスナーも多いだろう。


 番組終盤の「ココに注目BUZZポイント」のコーナーに登場し「アネクドット」を披露したももすももす。新幹線の移動中に編曲したため、テンポが早くなってしまったという情報も明かされた。スタジオライブでは、アーティスト写真でも着用しているリボンのデザインが施された赤いワンピースに身にまとい登場。


 軽快にギターを弾く姿は凛としているが、〈波間の赤さ/尊くなる/揺藍の地帰れど/声は出なかった〉〈アネクドット/逃げ出したくって/君と/遠くの方で焼きつく空に〉など、少し切なげで自分の弱い部分と闘っているような歌詞の部分を歌い上げる時には、マイクに両手を添えて可愛らしく歌い上げていたのも印象深く、どこかをしっかりと見据えた瞳から放たれる不思議な佇まいはとても魅力的だった。


 スタジオで披露された「アネクドット」についてふくりゅう氏は、「以前と比べてより表現したい軸がみえてきたのか、比喩を多用した謎解きのような歌詞から明快さを感じるようになり、本人がやりたい方向性、表現方法がより定まってきたように思います。ちなみに、「アネクドット」のタイトルは“逸話”を意味しており、世間にあまり知られていない興味深い話を指します。キャッチーな存在感ながらも深読み可能なももすももすらしいナンバーです」と評した。


 12月16日には、渋谷・TSUTAYA O-nestでの『ももすももすワンマンライブ~HUEは鳴き続ける。~』の開催が決定。ぜひ最新シングルでさらに進化を遂げたももすももすの世界観を体験してもらいたい。(取材・文=平沢花彩)