はてな匿名ダイアリーに11月20日、「PTAのせいで仕事クビになるから金銭補償して!」という怒りのエントリがあり注目を集めた。投稿者は今年4月、PTA役員の抽選に当たってしまったという女性だ。仕事をしておりPTAごときで平日は休めないが、投稿者の子どもが通う学校のPTAは軍隊並みに規律が厳しいとのこと。参加できないと非難され、裏でママ友に悪口を言われ無視されたという。それでもできる限り参加していたようで、
「PTAのために仕事何度休んだと思ってる!」
「わたしは専業主婦と違って、仕事に行って稼いで税金納めてる」
「PTAで給料補償の訴訟を起こそうと弁護士に相談中」
と雄叫びをあげている。(文:篠原みつき)
「そのために仕事休めっていうなら金銭保証してって言いたい気持ちすごくよく分かる」
投稿者は、PTAの仕事は非効率で時間がかかると不満を並べ、「底辺なしごと」として、
「1日PTAでベルマーク作業して集まるのはたったの300円」
「人件費はいくら!」
などと憤っている。PTAが必要だという人はいるのか、「どう思いますか?」と問いかけていた。
この投稿は500以上ブックマークが付き、賛同の声が相次いだ。投稿者のように困惑や怒りを抱えている人は多いようだ。
「実際に訴訟起こしてもらえるとありがたい。PTAで困ってる他の人を助ける事になると思うから」
「PTA もベルマークも、問題点は何度も指摘されていますよね。対話の機会をつくる意味で、訴訟よいと思います。社会を前進させたい」
多くはPTA役員経験のある親たちで、「PTAでの時間拘束は長すぎると思ってた!そのために仕事休めっていうなら金銭保証してって言いたい気持ちすごくよく分かる」「重労働なのに無償」など、PTAの問題点について論じる声が次々に上がっている。
何度も物議を醸すPTA問題だが、共働きが子育て世帯の大半を占める現在、簡単に「平日集まれ!」と言われても困る。任意参加とはいうものの、加入しないとなれば「子どもが不利益を被る」と暗に脅される学校もあるようで、実際に訴訟となればインパクトは大きいだろう。
「母親が我慢して休みを取ればいい」と、問題が棚上げされていないか?
実際にPTA問題での訴訟は起こっていて、2014年には熊本でPTA加入の意思確認がなかったことを不服とした男性が、会費の返還を求めてPTAを提訴した(翌年に和解)。大阪府内の私立中学校で、保護者会未加入を理由に卒業式のコサージュが貰えなかったことを不服として、慰謝料2万円を求めて提訴した父親の例もある。
PTAの負担感については、2015年に女優の菊池桃子さんが「PTAは参加任意のはずなのに、全員参加が暗黙の了解となっているケースが多い」として、一気にクローズアップされ話題となった。菊池さんは「政府が積極的に関与・指導をし、女性の就業問題の議論を深めて欲しい。(要約)」と要望を出していた。以来、PTAのあり方を巡って問題意識が高まり、今年8月には神戸で「PTAフォーラム」が開催されたり、各地で改革に取り組む動きも出てきているようだ。
しかし、投稿に共感が押し寄せることを見れば、まだまだ「母親が我慢してその期間休みを取ればいい」と、問題が棚上げされている所が多いことがうかがえる。
子持ちの筆者もPTA役員は経験済みだが、確かにPTAは前時代的で非効率な作業が多い。PTAが全く不要とは思わないが、「これが仕事を休んでまでやらねばならないことなのか」と疑問を感じることも多々ある。正社員なら休みを取るのが大変だし、自営やパートなら収入減につながってしまう。専業主婦も暇なわけではない世の中だ。PTAの改革は、もはや待ったなしではないだろうか。
※11月26日追記 現在、元記事は削除され本文には「ママ友こわい.com」というサイトへのリンクが貼られている。同サイトの管理者によると、もともとママ友こわい.comに掲載されていた記事を匿名ダイアリーに転載したという。元記事の全文は同サイトに再掲されている。https://bit.ly/37D01lG