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ブラック・アイド・ピーズ、「RITMO (Bad Boys For Life)」チャート上昇中 ヒットの要素揃い復活なるか

2019年11月24日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

The Black Eyed Peas, J Balvin「RITMO (Bad Boys For Life)」

 2019年の音楽業界を語るときに外せないのは、米ビルボードソングスチャートで史上初の19週連続首位を獲得したリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」でしょう(2週目以降ビリー・レイ・サイラスがクレジット)。リル・ナズ・Xは続く「Panini」もトップ10ヒットとなり、確実にスター街道を進んでいますが、そのリル・ナズ・Xをある意味凌ぐかもしれない大ヒットが10年前に生まれていたことをご存知でしょうか。


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 2009年、The Black Eyed Peasは「Boom Boom Pow」が米ビルボードソングスチャートを12週連続で制したのみならず、同曲が首位から陥落した週には「I Gotta Feeling」が入れ替わるようにその座に就き、そこから14週連続で首位に。The Black Eyed Peasは2曲で26週連続、実に半年もの首位の座を独占したのです。同年の年間チャートでも「Boom Boom Pow」が1位、「I Gotta Feeling」が4位に入ったのみならず、同年リリースのアルバム『The E.N.D.』からはさらに3曲が週間チャートでトップ10入り。アルバムも週間チャートを制し、The Black Eyed Peasは2009年の顔となったのです。


 その後、1年半ぶりにリリースされたアルバム『The Beginning』(2010年)からは2曲のトップ10ヒットを輩出するも、アルバムチャートは最高6位止まり。翌年からの活動休止~再開を経て昨年、8年ぶりとなるアルバム『Masters Of The Sun Vol.1』をリリースしたのですが、シングルが米ビルボードソングスチャート100位以内に入っていないことはもとより、アルバムも200位以内に入らずじまい。あの大ヒットから10年にも満たないうちにここまでとはと、米エンタテインメント界のシビアさに驚いたものです。


 そのThe Black Eyed Peas、ここに来て復活の兆しをみせています。


 10月に発表した「RITMO (Bad Boys For Life)」はSpotifyにて着実に上昇中。というのもこの曲にはヒットの要素が詰まっているのです。


 まずは客演のJ・バルヴィンの存在。コロンビア出身のレゲトン歌手である彼はこれまでに地元コロンビアで10曲以上のナンバーワンヒットを獲得したほか、米ビルボードではラテンソングスチャートのみならず総合ソングスチャートでも、ウィリー・ウィリアムとの「Mi Gente」(2017年)リミックスにビヨンセの客演参加後3位、そしてバッド・バニー共々カーディ・Bに客演参加した「I Like It」(2018年)が首位を獲得するなど、世界規模で知名度を上げています(日本でも、m-floのシングル「HUMAN LOST」(2019年)に参加)。


 楽曲はエレクトロ路線ながら、The Black Eyed Peasが時折見せる大胆なサンプリング(特に有名なのは、クエンティン・タランティーノ監督映画『パルプ・フィクション』(1994年)で有名なディック・デイル「Misirlou」をサンプリングした「Pump It」(2006年))を実行していることもヒットの要素。今回サンプリングしたのはイタリアのグループ、Coronaによる「The Rhythm Of The Night」(1993年)で、地元イタリアで首位、米でも11位を獲得したナンバー。「RITMO (Bad Boys For Life)」は「The Rhythm Of The Night」の冒頭のフレーズを巧みに引用しています。


 そして今回の「RITMO (Bad Boys For Life)」が映画『バッドボーイズ』シリーズ最新作、『バッドボーイズ フォー・ライフ』(2020年1月全米公開、日本公開は同年1月31日)に起用されることもヒットの可能性を秘めた大きな要素。ウィル・スミスとマーティン・ローレンスのコンビによるこのシリーズでは、1995年の1作目からは日本でも大ヒットしたダイアナ・キング「Shy Guy」が最高13位、2003年の2作目『バッドボーイズ2バッド』からはネリー、Pディディそしてマーフィー・リーによる「Shake Ya Tailfeather」が首位獲得というように、米ビルボードソングスチャートで結果を残しているのです。


 現在公開されている最新作の予告編では「RITMO (Bad Boys For Life)」はまだ使われてはいませんが、MVでは、ウィル・スミスとマーティン・ローレンスのシーンが挟まれており、「RITMO (Bad Boys For Life)」が映画のタイアップであることが解ります。


 「RITMO (Bad Boys For Life)」のSpotifyデイリーチャートをみると、J・バルヴィンの出身地であるコロンビアではリリース後間もない10月21日に首位を獲得し1カ月近く首位をキープ。世界全体では11月16日付で現時点での最高位となる6位に達しています。アメリカではこれまでのところ76位が最高位であり他国に比べれば動きは鈍いのですが、SNSでのシェア回数を示すバイラルチャートではトップ10入り。日本でもバイラルチャートで50位以内に登場していることから、映画の盛り上がり如何ではSpotifyをはじめ、総合ソングスチャートでもヒットする可能性は高いでしょう。これをきっかけにThe Black Eyed Peasがチャート上でも復活を果たすことが出来るでしょうか。(Kei)