重松清の小説『ステップ』が映画化。2020年4月3日から全国で公開される。
『ステップ』は、結婚3年目、30歳の若さで妻・朋子に先立たれた健一とその娘・美紀が、彼らを取り巻く人々との交流の中で成長していく姿を描いた作品。亡き妻への想いから男手1つで娘を育てることを決断し10年間歩み続ける健一役をシングルファザー役は初となる山田孝之、2歳から12歳までの美紀役をオーディションで選ばれた中野翠咲、白鳥玉季、田中里念がそれぞれ演じる。
さらに健一の義父役に國村隼、義母役に余貴美子、健一が悩みを相談する同僚役に初共演となる広末涼子、美紀が通う保育園の先生役に伊藤沙莉、亡き妻・朋子の面影があるカフェの店員役に川栄李奈がキャスティングされているほか、岩松了、日高七海、角田晃広、片岡礼子が共演。監督は、山田とは映画『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』、ドラマ『REPLAY & DESTROY』以来、3度目のタッグとなる飯塚健が務めた。
山田孝之は「こんな時、奥さんがいてくれたらどうしただろうとか、もう少し辛くなかったのではないだろうかとか、だけど見守ってくれているから、一人じゃないと言い聞かせてみたり、でも実際一人だし・・・ということの繰り返し。そんな健一の目の前に起きる出来事を、自分なりに素直に受け止め、行動して、必死に生きていこうと思いました」とコメント。
■山田孝之のコメント
健一を演じた1か月間は、亡くなった奥さんの存在がいつも心の中にあって、そばに感じていたので、本当に大変な時間でした。健一は、悩み、努力しながら生きていく、どこにでもいる普通の男です。
こんな時、奥さんがいてくれたらどうしただろうとか、もう少し辛くなかったのではないだろうかとか、だけど見守ってくれているから、一人じゃないと言い聞かせてみたり、でも実際一人だし・・・ということの繰り返し。そんな健一の目の前に起きる出来事を、自分なりに素直に受け止め、行動して、必死に生きていこうと思いました。
そうすれば、この映画を観た人を少しでも励ましたりできるのではないかと思っています。
■飯塚健監督のコメント
本屋で手にしたその日のうちに、夜通し読み続け、幾度となく涙した。
その数日後には、脚本を書き殴った。ほとんど衝動だった。が、葛藤もした。大が付くほど、重松さんのファンだったから。迂闊に映画になどするべきじゃない。一ファンのままでいた方が幸せだ。・・・それでも脚本を送らせて頂いたのは、「どうしても映画にしたい」という気持ちが勝ったからだ。返答は驚くほど早かった。すぐに読んで下さり、まだ粗い初稿だったにも関わらず、映画化の快諾を頂いた。と、それがおよそ10年前のこと。つまり念願の企画が、多くの力添えを頂き、実現に至りました。40代初めての監督作品です。主演は一人しか居ないと思いました。
山田孝之くんが、若くして妻を喪い、残された娘と生きてゆく父親を演じる、10年に渡る家族の物語、命の物語です。
何を話しても、返事が聞こえなくなってしまった部屋。その部屋の真ん中にある、消えない悲しみと寂しさ。乗り越えられない痛み。それでも娘は成長する。やがて部屋には会話が生まれる。生活の音が二人分になる。
そうやって一歩一歩「育ってゆく」親子の姿を、ぜひ大きなスクリーンでご覧下さい。
■重松清のコメント
パパと一人娘、それぞれの成長物語です。長いタイムスパンのお話だけに、実写化は無理だろうと思っていました。でも、パパを演じてくださるのが山田孝之さんだと聞いて、「おおっ!」とガッツポーズをつくりました。そのグッと握った拳は、クランクアップ後のいまもなお、そのままです。いや、さらに力がこもって、気がつくとVサインに変わっていたりして。