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『同期のサクラ』自暴自棄となり全てを失った高畑充希 じいちゃんの“最後の言葉”にどう応えるのか

2019年11月21日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『同期のサクラ』(c)日本テレビ

 高畑充希が主演を務めるドラマ『同期のサクラ』(日本テレビ系)が、11月20日に第7話を迎えた。


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 『同期のサクラ』は、サクラ(高畑充希)、菊夫(竜星涼)、百合(橋本愛)、蓮太郎(岡山天音)、葵(新田真剣佑)の同期たち、元上司のすみれ(相武紗季)と毎話1年に1人ずつフィーチャーされ物語が進んできた。同時に描かれてきたのが、サクラの3つの夢。


「私には夢があります。ふるさとの島に橋を架けることです」
「私には夢があります。一生信じ合える仲間をつくることです」
「私には夢があります。その仲間とたくさんの人を幸せにする建物を造ることです」


 彼女はこの言葉を言い続けてきた。しかし、残酷にもサクラは島に橋を架けるという夢を自らの手で潰すこととなる。さらに追い討ちをかけるようにやってくる“じいちゃん”こと、祖父・柊作(津嘉山正種)の死。夢を失い、天涯孤独の身になったサクラは自暴自棄な状態に。『同期のサクラ』第7話は、唖然とするほどのラストを辿ることとなる。


 ラストスパートがあまりにも衝撃的な第7話。その急転直下の展開を作り出しているのが、今回の主役とも言える柊作の存在だ。サクラと同期4人は、橋の工事説明会のため、故郷の美咲島へ。長年ファックスで励まし合っていたサクラと柊作が、ついに再会を果たす。サクラがずっと「じいちゃんの作ったコロッケが食べてぇ」と言っていたコロッケをはじめとした豪華なご馳走でもてはやされるサクラと同期たち。サクラと4人の仲の良い会話を聞き、“一生信じ合える仲間”をつくったことを実感した柊作に、自然と笑みがこぼれる。


 印象的なのが、死期が近いことを理解した柊作の行動と言葉たち。小さい頃に両親を失ったサクラは、男手ひとつで育ててきてくれた柊作が亡くなってしまうと、天涯孤独の身となってしまう。そのことを考え、柊作は同期4人に土下座をし、「皆さんサクラのこと、よろしくお願ぇします」と誠意を込めてお願いする。けれど、愛するサクラの前ではぶっきらぼうな態度を取ってしまう柊作。それはサクラも同じだった。


 「呼んだだけ」。相手の名前を呼んでみたものの、言い出せずにごまかす時に使う常套句。柊作とサクラは互いに一回ずつ、この後に本当に伝えたいセリフを発している。柊作は「いい仲間を持ったねか」、そしてサクラは「ずっと長生きすんだれ」というもの。恥ずかしさの中で、2人がやっと絞り出した言葉。「私は大人になれんだろっか」と説明会で真実を伝えるか迷うサクラに、「人間は一生大人なんかになれねんだて。なる必要もねえ」と返した柊作の言葉も胸に響くものであった。


 これまで、柊作がサクラに送ってきた激励のファックスは名言の連続だった。


「自分の弱さを認めることだ」
「自分にしか出来ないことがある」
「本気で叱ってくれるのが本当の友だ」
「辛い時こそ、自分の長所を見失うな」
「『勝ち』より『価値』だ」
「人生で一番辛いのは自分にウソをつくことだ」


 そして、柊作の葬式を終え、東京の家に帰宅したサクラを待っていたのが、生前に柊作が送っていた最後のファックス。


「桜は決して枯れない」「たとえ散っても」「必ず咲いて沢山の人を幸せにする」


 自分が亡くなることを悟った上で、サクラに送った最後の言葉。喪失感からサクラは柊作にファックスを送り助けを求めるも、返事は当然ない。失意のどん底にいるサクラに希望の言葉は届くこともなく、自暴自棄となった彼女は大切にしていた柊作のファックスを破り、橋の模型を破壊し、全てを失ってしまう。


 突きつけられる解雇通知書、サクラを励ます同期たち。第8話では、壮絶なサクラの物語が続く。そもそも、第1話から2019年にサクラが心電計と人工呼吸器を付けた重い脳挫傷になっているという終わりが提示されていることからも、そのシーンに向かっていくことは一つ確実なことではある。非常に気になる展開ではあるものの、放送は1週空けての12月4日。サイドストーリーの配信、これまでの全話無料配信がスタートしているので、第8話放送に向け、首を長くして待ちたいと思う。(渡辺彰浩)