2019年11月20日 11:11 弁護士ドットコム
スマートフォンなどを使用しながら運転する、いわゆる「ながら運転」の厳罰化などを柱とする改正道路交通法及び関係法令が2019年12月1日から施行される。
【関連記事:「田中の対応最悪」社員名指しの「お客様の声」、そのまま社内に貼りだし公開処刑】
改正法令には、(1)運転中の携帯電話の使用などに対する厳罰化、(2)運転免許証の再交付申請要件の拡大、(3)運転経歴証明書の交付を免許失効者にも拡大、などが盛り込まれた。
近年、スマートフォンが急速に普及し、自動車の運転中にスマホを使用するなどの行為による交通事故は増加傾向にある。2018年中は2790件で5年前の2038件から約1.4倍に増加している。
また、2016年にはトラックの運転手が、運転中にスマホで「ポケモンGO」をプレイしていたところ、小学生をはねて死亡させるという深刻な事件も発生しており、ながら運転による悲惨な交通事故を防止するための罰則強化が検討されてきた。
改正道交法では、運転中に携帯電話を使用して交通事故を起こした場合などの違反である「携帯電話使用等(交通の危険)」は、「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」→「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」に引き上げられる。
また、運転中に携帯電話で通話したり、携帯電話を手に持って画面を注視した場合の違反である「携帯電話使用等(保持)」は、「5万円以下の罰金」→「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」に引き上げられる。
さらに、携帯電話使用等(交通の危険)については、「交通反則通告制度」の適用から除外されることになった。
交通反則通告制度とは、運転中の軽微な交通違反(反則行為)について、反則金の納付をすれば刑事上の責任を問われないようになる制度で、対象となる交通違反についてはいわゆる「青キップ」がきられることとなっている。
適用から除外されるということは、必ず刑事上の責任を問われることになり、違反の内容次第では正式な刑事裁判にかけられることもある。
また、改正道交法施行令では、携帯電話使用等(交通の危険)の基礎点数が「2点→6点」に、携帯電話使用等(保持)の基礎点数が「1点→3点」に引き上げられる。
基礎点数6点というのは、これまで免許の停止(免停)を受けたことがない人でも免停となる、いわゆる「一発免停」になる点数だ。
携帯電話使用等(保持)に対する反則金の額については、大型車は「7000円」→「2万5000円」、普通車は「6000円」→「1万8000円」、二輪車は「6000円」→「1万5000円」、原付は「5,000円」→「1万2000円」にそれぞれ引き上げられる。
一方、携帯電話使用等(交通の危険)については、前述のように、交通反則通告制度の適用から除外されるため、反則金の規定がなくなることになる。
免許証の再交付は、これまで、なくしてしまった場合や壊れてしまった場合などに限って認められていたが、そのほかの事情でも再交付が認められることとなった。
たとえば、離婚により名字を変更した場合、変更後の苗字を記載した免許証の再交付ができるようになった。また、免許証に表示されている写真を変更しようとする再交付も可能となる。
運転経歴証明書は、免許証と同じ大きさで、返納日から過去5年間の運転経歴を証明するもので、これを提示すると各自治体や民間企業から特典を受けられることがある。タクシー料金の割引やスーパーで買い物した商品の配送割引などがその一例だ。
運転経歴証明書の申請は、これまで自主返納した人だけができるとされていたが、単に免許の有効期限が過ぎて失効した人についてもできるようになった。
また、運転経歴証明書の申請先が、自主返納したときの住所地の公安委員会から、現住所地の公安委員会に変更された。他の都道府県に引っ越した場合の利便性に配慮したかたちだ。