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戸田恵梨香が示した、努力の積み重ね 『スカーレット』で描かれた3年間の修行

2019年11月18日 12:21  リアルサウンド

リアルサウンド

『スカーレット』(写真提供=NHK)

 深野心仙(イッセー尾形)のもとで火鉢の絵付けを学び、3年が過ぎた喜美子(戸田恵梨香)。NHKの連続テレビ小説『スカーレット』が8週目を迎え、21歳になった喜美子の成長が感じられる回となった。


【写真】戸田恵梨香インタビューカット


 ドラマ前半で描かれたのは弟子入りした喜美子の努力の日々。喜美子は誰よりも早く工房へ来て、絵を描いた。焼き物の不用品を集めては、技術習得に取り組む喜美子を見て、深野たちは感心していた。その声を聞いた喜美子は照れくさそうな表情を浮かべる。家族が寝静まった後も、喜美子は自身の部屋で絵付けの練習に励み、静まりかえった部屋で黙々と絵を描き続けていた。無数の筆の跡が残る焼き物と花の絵が描かれた焼き物が、彼女の努力を物語る。


 弟子入りして3年目の冬、喜美子は「フカ先生がな、ようできるようになった言うてくれたで!」と嬉しそうに帰ってきた。喜美子は酔っ払って寝ていた常治(北村一輝)をゆすり起こすと「絵付けでお金がもらえるっちゅうことやぁ!」と伝えた。すると、「ばんざ~い! でかした~! でかした~!」と喜ぶ常治。絵付け師としてのスタートラインに立てた喜美子の満面の笑顔を見て、常治もマツ(富田靖子)も嬉しそうだった。


 そして、喜美子は、初めて絵付け火鉢のデザインを許される。しかし丸熊陶業は「深野心仙先生以外のデザインを採用しません!」と断言しており、採用の可能性は低い。弱気になる喜美子だったが、深野は「もの作りは一生修行や。デザイン採用されるまで何回でも取り組んでみたらええやないか」と背中を押した。デザインは一点物の芸術品とは違うと説く深野。喜美子は「お父ちゃんだったら」「みんなだったら」と、手にとってくれる人のことを想いながらデザイン案を考える。そして喜美子の頭に浮かんだのは「荒木荘」の人々とバラのデザインだった。


 絵付けやデザインに取り組む喜美子の姿が映し出されるとき、一切音がなかったり、静かな曲が流れるだけで、語りも入らないのが印象的だった。彼女が大好きな絵に向かっているとき、そこは彼女だけの世界になっているということだろう。喜美子演じる戸田の真剣な横顔が粛々と映し出される演出から、修行の日々と彼女の情熱がひしひしと伝わってきた。「荒木荘」の人々を思い浮かべて描いたデザインがどうなるのか、とても楽しみだ。


(片山香帆)