2019年11月15日 17:11 弁護士ドットコム
匿名掲示板「ガールズちゃんねる」は、嵐・二宮和也さんの結婚相手をめぐる投稿について、11月15日24時ごろをもってタイトルに女性の本名が含まれるトピック全てを削除すると発表した。
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運営側は他のトピックについても、実名、顔写真、女性がいわゆる「匂わせ行為」をおこなっていたとする指摘、女性のプライバシー権および名誉権を侵害する内容の投稿をした場合、「投稿されたユーザーさまが法的な不利益を被る可能性もございます」として、控えるよう呼びかけている。
いわゆる「匂わせ行為」とは、SNSなどに交際していることをほのめかすような文言や写真を掲載することで、ファンの間で女性のブログが「二宮さんとの交際を匂わせている」と話題になっていた。
二宮和也さんの結婚に関するスレッドを見ると、「おめでとう」、「かっこいいよ」と祝福する声もあれば、「匂わせクソババア」、「自己顕示欲とマウンティングがプンプン」などと女性を批判する声も散見されました。
名誉毀損やプライバシー侵害などに当たる誹謗中傷だけでなく、いわゆる「匂わせ行為」の指摘も、法的に問題になるのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。
ーー掲示板運営側が、投稿内容について注意を呼びかける対応をとりました
掲示板側がこういった対応を取るのは珍しいという印象があります。「投稿されたユーザーさまが法的な不利益を被る可能性もございます」としている点は、とてもユーザーフレンドリーだなと思いました。
ーーどんな投稿内容が、法的に問題になるのでしょうか
その指摘をすることが、名誉毀損やプライバシー侵害などになる場合です。しばしば誤解されているかもしれませんが、罵詈雑言でなければこれらの侵害にならない、というものではなく、淡々と何かを指摘することでも侵害は生じえます。
ーー「匂わせ行為」の指摘については、考えられますか
「匂わせ行為」は、意図してやっているかどうかと関係なく、それ自体に法的な問題があるとは通常言えないものです。
しかし、「匂わせ行為」をすることは、ファンを挑発し、ファンの上にいるのだと誇示する「マウンティング」をされていると捉えられる側面があることから、ファンからすれば不快に思う行為であろうといえます。
そのため、「匂わせ行為」をしているという指摘があれば、その人物は交際相手のファンを挑発して、マウンティングをする人物であるという指摘をするものといえます。
ーー「マウンティングをする人物」という指摘は、名誉毀損やプライバシー侵害などになりますか
名誉毀損とは、社会的評価の低下があることを指します。やや微妙なところはありますが、人間性に問題があるという指摘と捉えることもでき、社会的評価の低下があるという余地があると考えます。
そして、実際に違法性があるかは、その指摘が真実かどうかによって変わってきます。要は、たまたまだったのか、意図的だったのかといったところが問題になるということです。 ただ、この点の立証は内心にも関わるところでなかなか難しいといえます。
このように、ケースバイケースですが、最終的に違法性があると判断される余地はあるといえます。
なお、「匂わせクソババア」などの言葉は暴言であることは明らかといえます。このようなものについては、名誉毀損のほか名誉感情侵害なども問題になりえます。
【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebookに対する開示請求でともに日本第1号事案を担当し、2018年3月、Instagramに対する開示請求の日本第1号事案も担当。2016年12月12日「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第2版(弘文堂)」、2017年1月18日「企業を守る ネット炎上対応の実務(学陽書房)」を出版。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp