2019年11月15日 16:41 弁護士ドットコム
南海電鉄が運営する商業ビル「なんばCIYY」(大阪市中央区)で、自転車の集団が暴走する――。そんな様子を撮影した動画がツイッター上で拡散されて、話題になっている。
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拡散されている動画には、商業ビル内で、数台の自転車チームが通行人の間をすり抜けたり、前輪を上げる(いわゆるウィリー)など、危険な走行をしている様子が映っている。
自転車チームのものとみられるツイッターのアカウントが11月14日、「多くの方々にご迷惑をお掛けしました事を深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
あたりまえかもしれないが、この商業ビル内では、自転車の走行は認められていない。ケガにはおらず、施設の破損はなかったが、南海側はカンカンのようだ。
はたして、こうしたビル内で、自転車を走行させる行為は罪に問われるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
「私もたまに通るところですが、非常に危ないですね。動画をみても、良くないと思いますが、刑法の観点からもさまざまな犯罪が考えられます。
まず、一般人が危険を感じるという点で、暴行罪(刑法208条)が問題となりそうです。微妙なところではありますが、人の身体に対する有形力の行使とまでは言い切れず、この罪の成立は難しいと考えます。
次に、私有地ということで、建造物侵入罪(刑法130条前段)が問題になりそうです。場所が一般人に開かれたところですが、管理権者の意思に反した立ち入り行為といえるので、この罪は成立すると思います。
最後に、自転車の運転を通じて通行の妨げになっている点をとらえて威力業務妨害罪(刑法234条)の問題もあります。自転車でウェリー走行する行為は、人の自由意思を制圧するものといえますから、この罪も成立すると考えます」
もし通行人などをケガさせたり、施設を破壊した場合はどうだろうか。
「ケガをさせたような場合、傷害罪(刑法204条)の問題になってきます。
難しい問題は、ケガをさせるつもりがないのではないかというところ(故意がない)ですが、人通りが多いところで、今回のような走行をすれば、誰かにケガをさせる可能性があります。『未必の故意』があるとして、傷害罪が成立することになりそうです。
施設を破壊した場合も、器物損壊罪(刑法261条)などが該当することになりそうです。
いずれにせよ他人に迷惑を掛けるような行為は許されるものではありません」
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士Youtuberとしても活動を開始している。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/