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『ターミネーター』最新作、シリーズ定番アクションとREV-9の強さはどう生かされた? 4DX体験レポート

2019年11月13日 15:31  リアルサウンド

リアルサウンド

『ターミネーター:ニュー・フェイト』(c)2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

 伝説のSFシリーズ『ターミネーター』の最新作にして“正統な”続編『ターミネーター:ニュー・フェイト』が11月8日より公開中だ。


 昭和に始まり、平成に4作品が作られたシリーズの最新作が令和に見られることはまず嬉しい限り。肝心の内容もシリーズの名場面のオマージュをたくさん盛り込みつつ、今までにない新しい展開や設定を見せていた。


 そして2019年に今『ターミネーター』シリーズ最新作を見られるメリットとして大きいのはここ数年で目覚しい進化を遂げた4DXの上映を体験できる点だ。『ターミネーター:ニュー・フェイト』の4DX上映は字幕版、吹き替え版の両方が用意されている。特にこの映画はサラ・コナーの魂を継ぐ新ヒロインのダニー・ラモスがメキシコ人という設定で、英語とスペイン語の使い分けが非常に大きな意味を持つ場面もあり、そしてあの「I ‘ll be back」の名台詞も聞けるという点では字幕版で観ることを筆者としてはおすすめしたい。


 冒頭、シリーズお約束の球体のタイムスリップ装置で戦士が現代に送りこまれてくる場面も、4DX上映では空気の揺れや衝撃波が再現されており、目の前に未来から来たターミネーターがいるかのような臨場感で一気に引き込まれる。


 全体を通して本作ではシリーズの伝統に則り、未来から来た殺人マシーンから核戦争後の人類にとってキーパーソンとなる人物を守りながら逃げつつ戦うというプロットで物語が展開していく。


 小さい車に乗って逃げる主人公チームと巨大なタンクローリーに乗って追いかけてくる敵ターミネーターのカーチェイス、破壊するためでなく敵を一時的に止めるための大乱射の銃撃戦、今回から登場した強化人間のグレースやアーノルド・シュワルツェネッガー演じる旧型ターミネーターと最新鋭ターミネーターの肉弾戦、外骨格だけになっても襲ってくる敵などシリーズの定番アクションが繰り出される。どれも4DXの振動や温度、噴射の演出によってその場にいるような迫力が味わえる上に、それまでのシリーズでも繰り返されてきたアクションが展開されるので、数々の名場面を思い出しながら見られるという喜びがあった。


 また逃走劇の最中に乗り換える乗り物の数も豊富で、乗用車、トラック、タンクローリー、ヘリコプター、戦闘機、輸送機など種類によって揺れの演出も細かく切り替わるのも『ターミネーター:ニュー・フェイト』の4DXの売りの一つだ。特にシリーズで初となる輸送機での落ちそうになりながらのターミネーター同士の肉弾戦は大迫力で、本作の中でも白眉の場面となっていた。


 他にも旧型ターミネーターの外骨格と液体金属ターミネーターの2体が合体し時に分離して襲ってくるというシリーズ1、2の敵をハイブリッドしたような最強の敵REV-9の無駄のないスムーズな動きも4DXで再現されており、どれだけ脅威的な存在なのかもその演出によってわかりやすくなっている。クライマックスにはシリーズ初の水中でのターミネーター同士のバトルもあり、要所要所のスローモーションの演出も4DXでこそ最大限に表現されている。


 本作の監督を務めたのは2016年に『デッドプール』で長編映画監督デビューしたティム・ミラー。彼は2020年公開予定の『ソニック・ザ・ムービー』のプロデュースを手がけることも決まっている注目の監督だ。そして冒頭に書いた通り“正統”な続編として、本作で28年ぶりに創造主・ジェームズ・キャメロンがプロデューサーとして制作に関与している。映像テクノロジーの進歩ともに35年間の時を歩んできた歴史がある本作。その最新鋭として4DXでの鑑賞をぜひともおすすめしたい。(文=シライシ)