近年ヘルスケア領域に注力するGoogleが、アメリカを代表する医療システムの1つ、Ascensionとのパートナーシップを発表した。
Ascensionは、カトリック系の非営利組織で、2600以上の医療施設を手掛け診療管理やベンチャー投資等を行っている。まずは、AscensionのインフラをGoogle Cloud環境に移行するとともに、データ分析やその他ツールを利用して医療サービスの改善を目指す。
・Googleの提供するAIツールを活用Ascensionのインフラ上に分散して保管される医療データは、インテリジェンスなプラットフォームに移行/統合することで、管理および利活用がはかどると考えられる。
これにより、将来的には医療職や患者がデータを閲覧しやすくなるだけでなく、Googleの提供するAIツール(Googleは患者の入院期間や健康状態の推移を正確に予測できる機械学習ツールを開発している)なども利用可能となるはずだ。
こうしたシステムの効率化は、医療機関の運営にとってプラスに働くほか、患者へ適切なサービスを提供することにもつながるだろう。
・セキュリティやプライバシーを最重視Googleは、セキュリティ確保やプライバシー保護についても強調しており、医療データの運用はHIPAA(医療保険の携行と責任に関する法律)といった業界規制を遵守。間違ってもターゲティングなど他の目的に利用されることはないとのこと。
こうした医療データの活用のみならず、G Suiteに備わる生産性向上ツールにより、医療職のコミュニケーションや情報収集などもエンパワーメントされる。
Googleは、Ascensionとのパートナーシップを「プロジェクト・ナイチンゲール」の一環として位置付けていて、現在は臨床展開されていないソリューションに関しても積極的にテストしていく。これにより、ヘルスケア領域の変革を推し進め、AppleやAmazonといった競合を引き離す意図がありそうだ。
参照元:Our partnership with Ascension/Google Cloud Blog