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『グランメゾン東京』玉森裕太を巡る戦い勃発!? 日曜劇場に再登場、吉谷彩子×朝倉あきに注目!

2019年11月10日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

日曜劇場『グランメゾン東京』(c)TBS

 木村拓哉主演の日曜劇場『グランメゾン東京』(TBS系、日曜午後9時)に出演中の吉谷彩子と朝倉あき。日曜劇場常連の若手女子組である吉谷は『陸王』、朝倉は『下町ロケット』ぶりの日曜劇場に出演だ。今回は玉森裕太演じる平古祥平を巡りドラマのキーパーソンとして活躍しそうな2人に注目したい。


参考:動画はこちらから


 吉谷彩子と聞いて顔と名前が一致しない人も、転職サイト「ビズリーチ」のCMの子と言えば思い出す人も多いだろう。女優として世間に知られたのはやはり『陸王』での、役所広司演じる4代目社長が率いる老舗足袋業者「こはぜ屋」縫製課の若手社員・仲下美咲役。ベテラン従業員が集う中、最年少の若手として、黙々と仕事をこなし、従業員たちから娘のように愛されるキャラクターが徐々に注目を集め、最終的には社長の息子を叱咤激励する影のヒロイン的ポジションに。昭和の香りを漂わせる雰囲気と愛嬌でドラマに溶け込んでいたのは、女優としてまだ世間からの先入観がない存在だったのが大きい。ただ彼女を調べていくと、子役として4歳で女優デビューし、日本大学芸術学部映画学科演技コース卒業と、人生の全てを演技に捧げていると言っても過言ではないほどの「ザ・女優」。『陸王』での純朴で自然な演技は、実は長年のキャリアで培った匠の技だったりする。


 そして今回の『グランメゾン東京』は、”自分は世界一センスのいいパティシエだと絶大な自信を持っている”という設定のちょっと生意気なパティシエ・松井萌絵役を演じている。松井は、尾花夏樹(木村拓哉)がパリ時代に見習いとして働き、現在は平古が最年少料理長を務めるブッフェレストランのパティシエ。新入りなのに一番遅く職場に来るも時間までに芸術的なデザートを作る職人ぶりで、その逸材ぶりは尾花も認めるほどだ。その気さくな性格と料理には絶対的な自信を持つ松井は、尾花と同じ感覚を持った料理人だと考えられ、おそらくグランメゾン東京のパティシエとして引き抜かれそうだ。


 『陸王』の時とは真逆のキャラクターで、同じ女優が演じているとは気づかないほど。特に本作は、役以上に俳優としてキャラが立っている人たちが多く出演している中で、『陸王』と同様に、吉谷演じる松井は自然にドラマに溶け込んでいる。だからこそ、物語の中で何をするか分からないワクワク感があり、出番が待ち遠しくなるキャラでもある。昔の仲間たちが集結するレストランの中で、堅物の平古にも気さくに接するように、ツッコミを入れたり、若者ならではの新しいアイデアを出したり、良い意味で大人たちのチームワークをかき乱す、気兼ねのない存在として活躍したら面白くなりそうだ。


 一方朝倉あきは、NHKの連続テレビ小説『てっぱん』や『純と愛』、大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』や『おんな城主 直虎』、『十津川警部シリーズ』(TBS系)など様々なドラマに出演。『深夜食堂2』(TBS系)第16話のキャバクラで働く就活生役や、『孤独のグルメ』第1シリーズ(テレビ東京) 第9話の逃亡する劇団の看板女優役では、単発ながらもその回の重要な役を任せられることが多く、人の繊細な感情を、時に熱く、時に静かに表現し、視聴者の心に残る演技を見せた。『下町ロケット』の加納アキ役では、技術開発部の紅一点として明るくチームを支えるムードメーカー的存在として活躍した。地道にキャリアを積んでおり、多数のドラマに出演、そして映画『四月の永い夢』『21世紀の女の子』の一編「Mirror」では主役をはる実力をもっている。


 最近では『歌舞伎町弁護人 凜花』(BSテレビ東京)で民放連ドラ初主演を果たし、喜怒哀楽が激しい弁護士役、そして毎回恒例のセクシーなマッサージシーンなど今までにないキャラクターを演じ、一方現在放送中の『ひとりキャンプで食って寝る』(テレビ東京系)では、夏帆とともに自然体でキャンプに興じるなど、演じる役の幅の広さを見せている。


 そんな朝倉が今回演じるのは、平古のブッフェレストランがあるホテルのコンシェルジュであり、平古の婚約者、都議会議員・蛯名西堂(岩下尚史)の一人娘でもある蛯名美優。公式ページには「温室育ちのお嬢様で、大人しいほんわかした性格」と紹介されているが、第3話の終盤、平古と松井が厨房で尾花のジビエ料理を食べている様子を、ストーカーのように遠くから恨めしく見つめる姿が。松井がロッカーを開けようとすると、貼られていた画鋲で傷を負ってしまうシーンがあるが、おそらく嫉妬心が芽生えた美優の犯行と予想される。このドラマの流れの中で唐突すぎるサイコキャラ化とまさかの実行力に、今後どんな行動に出るのか、予想のつかない存在だ。


 美優の怖いところは父親の存在。銀行が貸し渋っていたグラメゾン東京への融資を、平古のためならと父親の力を利用し融資する流れとなった。しかし、これが松井や平古への復讐のために使われる可能性も否定できない。平古がグランメゾン東京に引き抜かれた際に、職場が離れる美優の怒りが頂点に達した時が、グランメゾン東京最大のピンチを迎える時かもしれない。それを考えると、最強の味方であり、最大の敵にもなる美優は、間違いなくこのドラマのキーパーソンだ。しかし朝倉の静かなサイコキャラの演技が実に新鮮で怖く、もっと過激に面白くなっていけば、『カルテット』(TBS系)の吉岡里帆のようにその特異なキャラクターがブレイクする可能性も十分にある。


 ここ最近の日曜劇場は、日曜劇場常連俳優たちが手を替え品を替えキャスティングされるのも特徴で、今作も尾上菊之助や手塚とおる、 石丸幹二といった常連の曲者俳優たちが出演し、この枠でしか味わえない雰囲気で物語を面白くしている。日曜劇場常連俳優たちは確かな実力が認められた俳優ばかりだが、吉谷と朝倉も改めてその引き出しの多い演技力を今回見せている。このドラマのメインストーリーはレストランに夢をかける大人たちの青春物語だが、若手たちの人間関係もドラマのスパイスとして注目していきたい。 (文=本手)