近年、IoT事業の拡大が著しく、スポーツ領域においても様々な試みがなされている。そんな中、株式会社ウフル、公益財団法人日本相撲協会、キリンホールディングス株式会社が共同でスタジアム・アリーナ向けソリューション「売り子ール」を、怪我で休場していた大関 貴景勝が出場予定だという「大相撲九州場所」にてテスト導入すると発表した。
誰でも2ステップで注文完了できる「売り子ール」「売り子ール」は、座席にビールやお弁当など飲食物やグッズなど、スマートフォンで注文した商品をデリバリーするサービスである。誰もが気軽に使えるように、アプリダウンロード、会員登録、座席番号入力は一切不要。
座席に設置しているカードにスマートフォンをタッチし、ブラウザで注文ページを開き、商品を注文するのみだ。また、注文時に売り子の指定が可能で、スタジアムの満足度を上げる要素のひとつである「お気に入りの売り子さんから購入する」ことができる。
同サービスは、2018年よりサッカーや野球の試合においてテスト導入され、デリバリーの便利さとサービスの使いやすさなどが高く評価されているようだ。
このたび、2019年11月10日~24日に福岡国際センターで開催される「大相撲九州場所」でのテスト導入が決定。導入エリアは、マスA席、マスB席であり、11:00~17:00の時間内でキリン一番搾りやお弁当などの食べ物のデリバリーが可能となる。
観客の満足度向上、スタジアムの収益向上など複数の効果従来、大相撲の場所(東京・大阪・名古屋のみ)では、相撲案内所の「お茶子」が座席案内や飲食物を座席まで届ける「お茶屋サービス」を行ってきた。そこで、九州場所の新たな取り組みとして、伝統の「お茶屋サービス」をデジタル手法を介して実現すべく、大相撲の観客のニーズに合わせたカスタマイズを行った「売り子ール」のテスト導入に至ったのだ。
同サービスの導入は、運営側にもメリットがある。エリアごとにメニューや売り子を自由に設定できるため、特定のエリアには特別メニューを用意するなどのキャンペーンを実施できるだろう。また、利用時に性別や年齢をヒアリングすることで、「どんな人がどのタイミングで何の商品を買っているか」などの商品の需要データを蓄積・分析することで、商品ラインナップの改善、収益向上に繋がるのだ。
さらに売り子にとってもメリットがある。これまでのように買い手を探す時間が削減されるため、接客にかける時間が増え、リピーター獲得に繋がるだろう。また、売り子の移動が観戦の妨げになるという理由で、販売機会を設けていなかった競技でも、同サービスにより最低限の移動で済むとなれば、販売機会を得られるかもしれない。
同サービスのメールアドレスやLINE IDの登録などが一切不要という手軽さは、「知人の付き添いで来場した」という「ライト層」でも使いやすく、リターゲティング広告での再アプローチが可能となるとのことだ。
以前、取り上げた「IoTスタジアム計画第2弾」(テッカブル)でもわかるように、スポーツ×IoT事業が広がりつつある。ひとつのサービスで複数の効果を生み出す同サービスの今後に期待したい。
PR TIMES