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公式YouTubeチャンネル・Johnny’s official、なぜ開設? ジャニーズJr.チャンネルとの関係性から紐解く

2019年11月09日 07:01  リアルサウンド

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リアルサウンドテック

 ジャニーズ事務所がネットに進出してずいぶん経った。メディアの写真使用解禁を皮切りに、“ジャニーズJr.チャンネル”や“ISLAND TV”の開設、そして先日大きな話題となった嵐のSNS・サブクス解禁など、精力的にネットでの展開をスタートさせている。


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 そして、2019年8月23日にはジャニーズ事務所オフィシャルYouTubeチャンネル“Johnny’s official”を開設。第一弾動画となったTravis JapanのMV「Namidaの結晶」をはじめ、現在20本の動画が投稿されている(11月7日現在)。同チャンネルの概要を見ると「ジャニーズ事務所所属タレントの出演作品・公演情報などを随時ご紹介いたします」とあり、あくまでもコンテンツの“紹介”に留めていることがわかる。当初、デビュー組たちのMVや様々なコンテンツ動画がアップされるのかと期待されていた部分もあったが、有料となっているファンクラブや“Johnny’s web”内の動画との差別化を図ることを考えると妥当であろう。


 さらに、現在アップされている動画を見てみると、ジャニーズメンバーたちの出演番組やライブ、発売DVDの紹介動画がメインとなっていることがわかる。これは、ジャニーズ事務所がYouTubeを今一番影響のあるプロモーションツールとして捉えていると言えるのではないだろうか。今まではテレビでの番宣やワイドショーのニュースなどでのプロモーションがメインで、ジャニーズ事務所側から積極的に発信するのはファンクラブのメール配信のみであった。しかし、こうして公式YouTubeページを持つことで、自ら発信できるチャンネルが増えたというわけである。アップされている動画の面々を見ると、デビュー組の中でも若手のグループ、そしてジャニーズJr.がメインだ。つまり、事務所から積極的に発信する必要があるコンテンツーーある程度ポジションを確立しきっているベテラングループたちではなく、まだまだ認知度を上げていきたい若手が軸になっていることが考えられる。


 そもそも、“Johnny’s official”の開設には“ジャニーズJr.チャンネル”の成功が起因しているのではないだろうか。“ジャニーズJr.チャンネル”にアップされている動画は、主にバラエティ色が強い。きちんと企画構成されていること、メンバーたちがしっかり個性を発揮していること、グループごとに自分たちの良さを伝えるためにはどうすればいいかが考えられていることから、高いクオリティの動画が多く見られる。「ファンだけしか見ないのはもったいない」コンテンツに仕上がっているのだ。


 毎週コンスタントに動画を1本あげなければならないため、自ずと各グループ内それぞれでモチベーションが維持され、士気が高まるはず。また再生回数など、数字として結果が目に見えることによって、ライバル関係にあたる他のグループとは、いい意味で刺激しあう関係になっている。加えて、視聴者が気軽にコメントできるため、彼らにとってファンの言葉はきっと、励みにも動画をアップする上での参考にもなっていることだろう。つまり、“ジャニーズJr.チャンネル”というオフィシャルYouTubeを開設したことで、これまで以上に彼らは日々成長し、アイドルとして向上していっている。


 さらに“ジャニーズJr.チャンネル”から派生して、SixTONESの『「YouTubeアーティストプロモ」キャンペーン』への抜擢や単独アーティストページの開設なども行なわれ、ジャニーズファン以外への認知も徐々に高まっている印象だ。また近年、TwitterのトレンドにジャニーズJr.のグループ名や個人名がたびたび上がるなど、実際に以前よりもジャニーズJr.たちへの関心や知名度は格段に上がっていると言っていい。つまり、YouTubeを活用したことによるメリットはかなり大きかったように思う。


 昨今、ジャニーズ以外でもアイドルコンテンツが非常に増えてきている。K-POP、ダンスボーカルグループ、ご当地男性アイドル、YouTuber……いまだかつてない男性アイドル飽和時代がやってきていると言っても過言ではない。もちろんジャニーズという絶対的な看板は今もなお健在だが、受身でいる時代は終わりに近づいているのかもしれない。有料動画サービスや“ジャニーズJr.チャンネル”との線引などで、今は紹介動画にとどまっているようだが、この先我々が想像しないコンテンツが“Johnny’s official”で公開されていくかもしれない。デジタル時代の今、もはや無視できないネット動画コンテンツをジャニーズ事務所がどう扱っていくのか。目が離せない。(文=高橋梓)