トップへ

大人も子どもも楽しめるギミックが満載! 『かいじゅうのすみか』探検レポ

2019年11月08日 13:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)TSUBURAYA PRODUCTIONS CO., LTD.

 芸術の秋、読書の秋、食欲の秋……紅葉狩りに行くのもいいけれど、もっと本気の探検に出かけたい! そんな想いを叶えてくれる『空想科学 かいじゅうのすみか 体感エンターテイメント』が、東京ドームシティ Gallery AaMoにて開催中だ。


(関連:全天球360度VRでウルトラマンが飛び回る! プラネタリウムで画期的な特撮作品が公開


 これは、特撮世界の大家・円谷プロダクション(以下、円谷プロ)とパナソニック株式会社(以下、パナソニック)の最新デジタル技術により実現された、その名の通りの“体感エンターテイメント”。円谷プロが半世紀以上にわたり製作してきた作品に登場する、“かいじゅう”たちの世界を垣間見ることができる。彼らは地底から、湖から、そして宇宙から地球へとやってきたが、それにはさまざまな理由があったのだろう。そんな“かいじゅう”たちが、平和にのびのびと共生している世界が、この『かいじゅうのすみか』なのだ。


 本展の見どころは、大きく7つ。それぞれに、本展でしか味わえない、そして体験できない時間と空間が広がり、私たちを待ちうけている。それでは、探検に出てみよう。


 まず最初に現れるのは、「アンバランスゾーン」。東京のど真ん中に出現し、私たちを異次元世界へと吸い込むように誘う“ポータル”だ。パナソニックの最新技術である、濡れにくい“シルキーファインミスト”にレーザー光線と照明が組み合わさり、音響効果も相まって“異界の入口”を空間演出。マジカルかつ近未来的な不思議な空間となっている。実際に微粒なミストに触れてみたが、たしかに濡れない。リラックス効果もあるように感じ、ここだけで長い間を過ごせそう。しかし、探検はこれからである。


 次に現れるのは「ユートピア」。私たちの進む道(通路)の両サイドには、レイヤー構造空間カーテンが設けられ、そこに青く光るかいじゅう・モルフォ蝶が映し出されている。この蝶は、触れるときらめいたり、色が変化したりするインタラクションデザインによって実現。蝶とたわむれはしゃいでいればヒーリング効果も期待できそうだが、奥の方からは、何やらおどろおどろしい叫び声が……。


 ここでようやく姿を見せる、二体の巨大“かいじゅう”。レッドキングとエレキングだ。レッドキングは凶暴な性質を持ち、腕力も強く、岩石投げなどで攻撃する。一方のエレキングは、湖で育てられた宇宙怪獣で、口から放電光線を発射したり、長い尾を敵に巻きつけて高圧電流を浴びせたりして攻撃をする。いやあ、恐ろしい……。この二体の“かいじゅう”は、動刻ロボットへのプロジェクションマッピングと多彩な映像テクノロジーの組み合わせで表現。プロジェクター、特殊スクリーン、照明、重量感サウンドシステムを駆使して数分間のライブシーンが展開される。恐怖心を抑えながら、ここはなんとしてでも彼らに近づいてみたいところ。さまざまな角度から、“炎”や“稲妻”の映像演出を楽しめる。


 そして、レッドキングとエレキングのすぐそばには見晴台が。ここは会場を一望できる、ある種、絶景とも言えるフォトスポットだ。この周辺は「ジャングルエリア」となっていて、小型宇宙船に乗ってやってきたかいじゅう・ムクムクや、狡猾な戦略でいくつかの星を侵略し、地球では地球人同士の信頼を失わせて乗っ取ろうとしたかいじゅう・メトロン星人などの存在も確認できる。寝転がるムクムクと添い寝して写真を撮ることも可能だし、いかにも卑しい感じのするメトロン星人に、こちらからコンタクトを取ってみるのもありだろう。ただ、彼らはあくまでも“かいじゅう”。慎重に接してみるのが吉だ。


 次のエリアで顔を見せるのは、そう、我らがバルタン星人。故郷の星を失い放浪し、地球への移住を目論むかいじゅうだ。ここでは、パナソニックの特別開発機材である部屋中にプロジェクションマッピングを映し出す“高速ムービングミラー”を使用した空間が出現。こういったイベントで使用されるのは国内初とのことで、まさにお披露目の瞬間に私たちは立ち会うことができるのだ。バルタン星人が目の前で瞬間移動したり、飛行したりといった、予測不能な動きを見せる。彼の動きの速さに誰もついていけないことは間違いないが、ダメ元で戦いを挑み、追いかけてみるのもありかもしれない。


 バルタン星人との戦いを終え(この際、勝ち負けはどうでもよい)、次に登場するのは、あの可愛い人気者かいじゅう・ピグモンだ。モルフォ蝶が舞っていた「ユートピア」と同様に、私たちの進む道には両サイドに映像が映し出されたパネルが立っており、センシング技術を駆使したインタラクティブ映像コンテンツを楽しめる空間となっている。追いかけると、逃げたり隠れたり、愛らしい動きを見せるピグモン。人間に対して友好的な“かいじゅう”だからこそ、積極的にコミュニケーションを取ってみよう。


 そして、探検の果てに私たちがたどり着くのは「探検家ラボ」。どうやら私たちよりも遥か昔に探検家・チャックがこの地を訪れていたようで、ここには彼が収集した数多くの“かいじゅう”にまつわる資料が所狭しと並べられている。その中には、巨大なタマゴや、化石と思しきもの、剥製などがズラリ。これまで円谷プロ特撮映像美術として携わってきたマーブリング・ファインアーツによる特撮美術セットの世界が広がっている。こだわり抜かれた、あまりにリアルな作りの美術の数々を前に、ここまで探検をしてきた自分自身の研究成果だとの錯覚を引き起こし、どことなく感慨深い気持ちに浸ってしまう。探検家・チャックの残した食料もあり、あまりの没入感についつまんでみたくなるのだが、他人の貴重な食料に手を出してはならないことは、真の探検家ならば心得ているはずだ。


 さらに、物販コーナーのある会場出口付近には、70台ものカメラを搭載した3Dスキャナーが設置してある。これは、会場にて入手できるアプリと連動させ、私たちがスキャナーの中に入ることでアバターを作り出し、9月に発売された『空想科学絵本 かいじゅうのすみか』の世界に入ることができるというもの。また、会場内のところどころに石碑があり、スマホでスキャンできるようになっている。こちらのアプリは公式サイトで入手可能。このARアプリ・ESPerスコープは、AR機能を活用し、『かいじゅうのすみか』の会場内で“異変”を探し出すツールとなっている。場内で撮影したさまざまな写真とともに、世界中にいる探検家たちにSNSで報告することも可能だ。そこでは思わぬ探検家同士の絆が生まれるかもしれない。探検とは時に孤独なものだが、私たちは独りではないのだ。


 私たちは今回の探検をとおして、地球へとやってきた“かいじゅうたちの事情”や、“私たちに伝えたかったこと”に想いを馳せずにはいられないだろう。ぜひとも足を踏み入れていただきたい。(文=折田侑駿)