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菜々緒が語る、『4分間のマリーゴールド』ヒロイン役との巡り合わせ 「すべてがこのタイミングだった」

2019年11月08日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

菜々緒(撮影:伊藤惇)

 余命1年の義姉との禁断のラブストーリーを描くドラマ『4分間のマリーゴールド』(TBS系)が現在放送中だ。本作は、人の“死の運命”が視えてしまう特殊な能力を持つ主人公・みこと(福士蒼汰)が、想いを寄せている義姉・沙羅(菜々緒)の運命を変えようと奮闘する物語。


 今回、リアルサウンド映画部では、本格派ヒロインを演じるのが初となる菜々緒にインタビューを行い、オファーを受けた時の率直な感想や、現場の雰囲気について語ってもらった。(編集部)


【写真】菜々緒撮り下ろしカット


■「あまり『恋愛したい!』と思わない」


――菜々緒さんが抱いていた、恋愛ドラマのヒロインに対する思いを聞かせてください。


菜々緒:私はもともと恋愛体質じゃなくて、あまり「恋愛したい!」と思わないというか……ちょっと変なんですけどね(笑)。片思いなら片思いでいいし、カタチにこだわらなくていいじゃんっていう。もちろん恋愛ドラマを観ると「こんな恋愛も素敵だな」と思ったり、憧れたりするところはあるけれど、自分の本質的なものからすると、恋愛ドラマのヒロインからかけ離れたタイプの人間ではあるなと思っていました。


――初めてヒロインを演じるということで、不安も大きかったと思います。


菜々緒:言い方がおかしいですけど、これまでに“初々しい男女の関係”みたいなものを経験したことがないんですよ(笑)。だから、自分にそういう雰囲気が演じられるか不安はありました。でも、この作品には原作というお手本になるものがあって、それを忠実に再現する部分も多かったんです。なので、実際に演じる上での難しさは、あまり感じませんでした。


――原作を再現する上で、とくにこだわったところは?


菜々緒:これまで強い女性を演じることが多かったので、イメージチェンジをはかるため、10年位ぶりに前髪を切ったり、メイクを変えたり、まずは見た目から入りました。あと、沙羅を演じる時に大切にしているのは声ですね。今までの役では地声より低くすることはありましたが、今回はこれまでで一番高いトーンで話しています。


――それは、ご自身の意志で?


菜々緒:そうですね。沙羅の天真爛漫なキャラクターは、私の中で声が高くて、透き通ったイメージがあって。それに声を高くすることによって、表情や仕草も変えることができると思っているんです。


――菜々緒さんには“強い女性”というパブリックイメージがありますが、それを壊したいといった思いは抱いていましたか?


菜々緒:いや、それは特になかったんですよ。なので、この作品のお話をいただいて、本当に驚きました(笑)。沙羅のような天真爛漫で心優しい女性のキャラクターは、近づけようとしなくても演じられる女優さんがたくさんいらっしゃったと思うので。自分が一番、「なんで私?」と思ったんじゃないかな。


■「この作品と出会ったことも絶対に運命」


――なぜ菜々緒さんが抜擢されたと思いますか?


菜々緒:ドラマの撮影に入る前、スリランカに10日間くらい滞在していて、アーユルヴェーダなどの治療プログラムに参加して、精神共にリラックスして過ごしました。そのホテルには図書室があって、滞在した方が読み終えた本を寄付しているのか、日本語の本がたくさんあったんです。そんな中で『明日死ぬかもよ?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という一冊の本が目に止まって。私だったらどうするかなって、すごく考えさせられたんです。


――作品と重なる、すごいタイミングですね。


菜々緒:ドラマは切なくて、愛おしくて、とっても素敵なラブストーリーではあるけれど、みことが手を合わせた人の“死の運命”が視えるというスピリチュアルっぽい部分もある。“生と死”に向き合う作品でもあるので、私がこの本を手に取ったことも、この作品に携わることも、沙羅という役をいただいたことも、すべてがこのタイミングだったんだなって。


――運命を描く物語ですが、まさに運命ですね。


菜々緒:そう! この作品と出会ったことも絶対に運命だし、必然だし、“私が沙羅を演じなきゃダメなんだ”と腑に落ちたんです。なんか重い感じになっちゃいましたけど(笑)、ここまでの気持ちになれる作品は、なかなかないので。


■「『私、仏になったのかな』と思うくらい穏やか(笑)」


――ちなみに、菜々緒さんは自分の死期がわかるとしたら、知りたいですか?


菜々緒:私は知りたいです。


――それを知ったら、今の生き方を変えますか?


菜々緒:最近は本当にいろいろな本を読んでいて、その中に“今日一日を人生最後の日だと思って過ごそう”というワードがあったんです。それを読んでから、考え方や生活の仕方がガラリと変わりました。今までは何にも考えずに過ごしていたけれど、“いずれ死ぬ”ことを意識するようになってから、生きることに対してすごく真剣になれたというか。


――すでに毎日を意欲的に生きていると。


菜々緒:朝起きるのも辛くないし、ストレスもないし、ネガティブなことを考えることがなくなって、「私、仏になったのかな」と思うくらい穏やかになっちゃって(笑)。もともと本当にせっかちで、何かしらストレスを抱えているような人間だったので、生まれ変わって、一回出直したような感覚があるんです。私の人生を変えるような出来事が最近たくさん起こっていて、そのひとつがこのドラマでもありますね。


――撮影の雰囲気も、とても良さそうですね。


菜々緒:めちゃくちゃ楽しいです。変な緊張感がまったくなくて、不思議としっくりくる。“直感”は人間の本能として備わっているものだし、感覚的にすんなり受け入れられるっていうのは大きなことだと思っています。スタッフもそうだし、キャストのみんなもそうだし、本当に良い雰囲気で撮影できていますね。


――今作はきょうだい愛のお話でもあります。菜々緒さんから見た、キャスト3名の愛すべきところは?


菜々緒:私はもう、みんなのことを愛しています(笑)。3人とも愛されキャラなんですよね。福士さんはいつもニコニコしていて、ご機嫌なのかじっとしていられないのか、常に鼻歌を歌うか口笛を吹いている。とにかく無邪気なんですよ。横浜(流星)さんはクールな感じかと思ったら、本当にかわいいポンコツなので、そのギャップがたまらなく愛おしくて(笑)。


――桐谷健太さんとは、CMで長く共演されていますね。


菜々緒:お芝居でガッツリご一緒させていただくのは初めてなんですけど、やっぱり安心感がありますね。役柄においても家長として一家を支えるお兄ちゃん的存在ですし、現場でも明るくムードメーカー。その場を楽しく盛り上げてくれるので、本当に頼もしいです。今日は打ち合わせをしながらマイペースにご飯を食べていて、みそ汁までしっかり飲んでいるのを見て「自由だな~」と思ったり(笑)。3人それぞれファンの方に愛されている理由がわかるし、花巻きょうだいがこのメンバーでよかったなと、心底思っています。


――たくさんの巡り合わせを感じている作品ということですね。


菜々緒:本当にそう思います。今、こうしてインタビューで話していることもすべてが巡り合わせだし、家族や恋人、友達と過ごせる時間も当たり前じゃない。“本当にかけがえのない時間なんだな”と私自身も思わされるし、視聴者のみなさんにとってもそんな風に考えられるきっかけになる作品になればいいなと思っています。


(取材・文=nakamura omame)