パーソル総合研究所は10月、「中間管理職の就業負担に関する定量調査」の結果を発表した。調査は今年2~3月に企業規模50人以上の企業を対象に実施し、人事部に所属する従業員300人、企業の管理職2000人から回答を得た。
自分の勤め先について「働き方改革が進んでいる」と回答した人は30.5%で、進んでいない企業(69.5%)が多数派となった。管理職の業務量について聞くと、働き方改革が進んでいる企業群では「増加した」(62.1%)が、進んでいない企業群(48.2%)を上回った。
また、「組織の業務量の増加」(働き方改革が進んでいる企業群69%、進んでいない企業群36.3%。以下同順)、「人手不足」(65.7%、同44.2%)、「時間不足から付加価値を生む業務に着手できない」(56.9%、同42.3%)と、働き方改革が進んでいる企業群の方が「中間管理職の負担感」が増えていることがわかった。
人事の思う"中間管理職が抱える課題"「働き方改革への対応の増加」
中間管理職に、抱えている業務上の課題を聞くと、最も多かったのは、「人手不足」(57.5%)。次いで、「後任者不足」(56.2%)、「自身の業務量の増加」(52.5%)、「学びの時間を確保できていない」(47.7%)と続く。
一方、人事に「中間管理職が抱えている課題」はどのようなものだと思うかを聞くと、「働き方改革への対応の増加」(52.0%)が最多で、以降、「ハラスメントの対応の増加」(42.7%)、「コンプライアンスの対応の増加」(38.7%)と続く。
中間管理職自身は「人材や時間不足」を、人事は「法やリスクへの対応」を課題だとだと考えており、認識のギャップが生じていることがわかった。
また、人事は管理職への支援・サポートについて「IT化やシステム化などを進めて決裁などにかかる省力化」(30%)、「研修などによる、管理職本人のマネジメント・スキルの向上促進」(26.7%)といったことを行っていると回答。しかし4社に1社は「特に行っていない」(24%)という。
「まずは中間管理職が抱える人手不足や業務量などの課題を認識すべきだ」
管理職本人の心理的・業務的負担感について、高い層と低い層を比較した。「後任者の不在」(高群68.9%、低群53.1%。以下同順)、「時間不足から付加価値を生む業務に着手できない」(64.7%、38.7%)、「学びの時間を確保できていない」(63%、41.1%)、「スキル・知識不足から付加価値を生む業務に着手できない」(53.3%、29.8%)、「残業が増えた」(47.7%、40.2%)と、様々な問題を高確率で抱えているのは「高群」であることがわかった。
パーソル総合研究所の小林祐児主任研究員は、「企業・人事としては、まずは中間管理職が抱える人手不足や業務量などの課題を認識すべきだ」と述べた上で、
「自社の中間管理職が担っている業務の種類や量を洗い出し、役割のシェア、デジタル化での負担軽減、権限移譲などを進め、過剰な負荷を背負わないようにメリハリをつけていくことが必要だろう」
とコメントしている。