2019年11月02日 09:51 弁護士ドットコム
離婚を請求してきた夫が、車中泊で別居を始めてしまったーー。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。相談者は、夫が「不倫を隠して離婚を請求している」と考えており、離婚を拒否しました。
【関連記事:旅行で「車中泊」、運転席でエンジンかけて酒を飲んだら「飲酒運転」になる?】
すると夫は、勝手に家を出ていき、現在は車中泊を始めたそうです。
しかし別居期間が長くなれば、離婚が認められる可能性もあります。車中泊も別居とカウントされてしまうのでしょうか。また離婚に際して、別居期間がいつかという問題は、どんな点で重要なのでしょうか。山本明生弁護士 に聞きました。
「離婚に関連する別居では、家族が別々に住むことに加えて、夫婦生活の実態の有無、生計を共にしているか否か、当事者が一緒に暮す意思を有しているか否か等の観点から判断することが多いです」
今回のケースではどうでしょうか。
「離婚を請求してきた夫が、車中泊をしているわけですから、夫には、もはや妻と生計を共にする意思や一緒に暮す意思はないものと思われます。そのため、一切帰ってこなくなったのと同様に、車中泊が夫婦生活の実態がなくなったと判断されるようなものであれば、別居と認められると思われます」
相談者の意思はともかく、夫が別居に踏み切った以上、これからのことを考えたほうが良いのかもしれませんね。
「別居については、長期間の別居があれば婚姻関係が破綻しているとして離婚が認められる可能性があり、別居開始時点はその起算点となるという意味で重要です。また、別居開始時は財産分与の基準時を決めるためにも重要です。
財産分与は、夫婦の共同生活により形成した財産を、その寄与の割合に応じて分配しますので、離婚前に夫婦が別居した場合には、特段の事情がない限り、別居時の財産を基準にして行うべきとされています。
ちなみに今回のように、夫の不倫が真実であれば、有責配偶者からの離婚請求の可否という問題も生じます。その場合は、相談者にどのような証拠があるかが重要になります」
【取材協力弁護士】
山本 明生(やまもと・あきお)弁護士
大阪弁護士会所属。交通事故被害(死亡事故、重度後遺障害案件を含む)、相続、離婚など個人をとりまく身近なトラブルを多く扱っている。「話しやすく、分かりやすい弁護士であるべき」との信念に基づき日々活動している。
事務所名:山本・竹川法律事務所
事務所URL:http://www.ytlo-jiko.jp/